LabVIEWとPXIで通信設計/テストを向上
今日、無線/通信の新規格を求める声が高まりを見せています。チップメーカが最新のチップセットに多くの機能を盛り込もうと努力する一方で、デバイスメーカは先を争うようにして、これらの新機能を最新の製品に搭載し、それに伴うデバイスのテストも進めています。このような熾烈な製品開発競争を生き抜くためには、開発期間を短縮することが必至となり、最新の無線/通信技術を使用したデバイスのプロトタイプ作成/設計/テストが短時間で行える、柔軟性に優れたソフトウェアベースのアーキテクチャが必要不可欠となってきます。図に示した、典型的な通信システムのブロックダイアグラムを参考にすることで、無線/通信デバイスを設計/テストする上で、NIのLabVIEWや、LabVIEW 用のNIモジュレーションツールキット、PXI RFハードウェアプラットフォームのどのような機能が活かせるかが分かります。
典型的な通信システムのブロックダイアグラム
図1は、典型的な通信システムの主な機能ブロックを示したものです。このブロック図は、送信側はソースコーディング、チャンネルコーディング、変調、アップコンバージョンの順番で、受信側はこの逆のプロセスになります。実際の通信では、データの伝送が行われる通信チャンネルが含まれます。通信チャンネルの例としては、空気(無線)、光ケーブル、銅線が挙げられます。
図1.この図は、典型的な通信システムの主な機能のブロックダイアグラムです。
ソースコーディングとデコーディング
ソースコーディングの役割は、転送情報やメッセージを、必要最小限のデータ量に抑えることです。データの圧縮と考えてもらえればよいでしょう。メッセージが小さければ小さいほど、伝送にかかる時間も短くなり、結果として貴重なリソースを効率よく使用できることにつながります。ソースコーディングを行うことで、同じ帯域幅を使用した場合でもより多くの情報が送れるようになるのです。ソースコーディングの例として、jpegファイルの圧縮やzip(LZ77とHuffmanコーディングアルゴリズムを組合わせたもの)、MP3(MPEG-1の一種で、音声や音楽の圧縮に使用)、MPEG-2(DVDで使用)などがあります。
チャンネルコーディングとデコーディング
ソースコーディングとは異なり、チャンネルコーディングではデータにビットを追加し、メッセージのサイズを大きくすることもあります。ビットを追加することにより、オリジナルのメッセージがノイズやフェーディングなどといったチャンネルの障害に妨害されることなくきちんとデコーディングされ受け手側に伝わるようになります。
データを正確にエンコードし、伝送したいというニーズと、メッセージのサイズを最小限に抑えたいというニーズの両方に対応すべく、これまでに数多くのチャンネルコーディングアルゴリズムが開発されてきました。図2では、NIモジュレーションツールキットで使用できるチャンネルコーディングのアルゴリズムを紹介しています。

図2.NIモジュレーションツールキットは、これらのチャンネルコーディング、モジュレーション形式に対応しています。
モジュレーション(変調)とデモジュレーション(復調)
変調を定義するならば、「電磁波や信号の一つ以上のプロパティ(振幅、周波数、位相など)を変えるプロセス」ということになります。変調することにより、低周波の情報を高周波で伝送することが可能となります。データの伝送を、低い周波数ではなく、より高い周波数で行うのはなぜでしょうか。
ベースバンド音声信号(20 Hz~20 kHz)をワイヤレスで伝送しようとすると、アンテナや電源など、相当な大きさの電子機器が必要となり、周波数と反比例して波長が大きくなることから、現実的であるとは言えません。同じ信号を高い周波数で伝送できれば、波長も小さくなり、必要とされる機器のサイズも電力量も小さく抑えることが可能となるのです。変調することにより、高周波の信号に、ベースバンド信号を乗せて伝送することが可能となるのです。伝送したい情報やメッセージを含んでいる低周波数信号は、変調信号です。高周波信号は、ベースバンド情報を「搬送」するため、「搬送波」と呼ばれます。その結果として組み合わされた信号は、「変調された搬送波」と呼ばれます。
複数の信号を同じチャンネルで伝送したい場合、あるいは、信号の帯域幅を増大させることなく、通常よりも多くの情報を伝送したいというような場合にも、変調が役に立ちます。同じスペースで、より多くの情報が伝送できるので、帯域幅をより有効に使用することができるようになります。アプリケーションの種類や、伝送するデータの容量に応じて、変調形式が決まります。
図2では、モジュレーションツールキットが対応している変調形式をリストアップしています。その上、モジュレーションツールキットを使用することにより、カスタム仕様の変調形式も作成することができます。これは、カスタム仕様の形式を必要とする、独自仕様のアプリケーションにおいて特に有効です。
アップコンバージョンとダウンコンバージョン
信号の周波数を上げるにはアップコンバータを使用し、下げるにはダウンコンバータを使用します。アップコンバージョン、ダウンコンバージョンを行うには、ミキサーと呼ばれるデバイスを使用します。ミキサーは、異なる周波数の2つの信号を「掛け合わせ」て合計信号と差信号を生成します。
ナショナルインスツルメンツでは、このような特殊な設計ニーズにも対応できるように、アップコンバータとダウンコンバータ(NI PXI-5600 2.7 GHz RFダウンコンバータとNI PXI-5610 2.7 GHzアップコンバータ)を用意しています。これらのアプリケーションでは、NI PXI-5660 RFベクトル信号アナライザやNI PXI-5671 RFベクトル信号発生器も使用できます。
図3.NI LabVIEWとモジュール式ツールキットは、通信システムの構築に必要な全てのブロックを備えています。
複数の通信規格に一つのテストプラットフォームで対応
LabVIEWとPXIの柔軟性を活用すれば、多数の無線/通信の新規格の設計/テストを行うのに、わずか一つのプラットフォームで対応できます。図3は、図1で示したものと同じ、通信システムのブロックダイアグラムで、LabVIEW VIやモジュレーションツールキットの関数に対応しているものです。このような手順を踏むことにより、最新の通信システムやワイヤレス規格のプロトタイプ作成、検証を短時間のうちに行うことができます。PXIハードウェアを使用すれば、HIL(Hardware-inthe-Loop)テストも行えます。
通信技術に対する要求は止まるところを知らず、次々と新しいワイヤレス規格が開発される中にあって、LabVIEWソフトウェアとPXIプラットフォームは、ふくらみ続けるニーズ、目まぐるしく変わるニーズに対応することが可能です。LabVIEWとPXIは、近年普及している、また、今後も増大することが予想されるワイヤレス/通信ニーズに対応するためのツールを単一のプラットフォームで提供することができます。
RF/通信
マーケティングマネジャー
Joseph E. Kovacs
NIWeek 2006のRF/ワイヤレス通信サミットについての詳細は、ni.com/jpにアクセスの上、Info Code欄に「nsi6204」と入力するとご覧いただけます。
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