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モジュール式計測器の校正

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Overview

このドキュメントでは、モジュール式計測器およびプラットフォームの校正を行う時期と方法について詳しく説明しています。計測学や校正の基本原理は、計測器のプラットフォームがモジュール式計測器でも、従来型計測器の場合でも同じです。ただし、モジュール式プラットフォームの多様性とソフトウェア定義のインタフェースにより、モジュール式計測器の校正にはさまざまなオプションがあります。

モジュール式計測器

テストシステムは、モジュール式への移行がより一般的になるにつれ、次第に仮想型と従来型の2つのタイプに分類されるようになってきました。図1は、それらのシステムのアーキテクチャを表しています。

図1. 従来型と仮想型の計測器アーキテクチャ

図1に示すように、2つのハードウェアアーキテクチャは基本的には同じですが、構成要素が少し異なります。従来型計測器とは、スタンドアロンデバイスで、機能やユーザインタフェースが固定されたものをいいます。計測器ベンダが、組み込みソフトウェアの実装を行い、そのソフトウェアがデバイスの機能を定義するため、測定項目はこのソフトウェアで定義されたものに限定されます。これに対して、ソフトウェアで定義された仮想計測器では、ユーザ自身がカスタマイズ可能なソフトウェアと、モジュール式ハードウェアオプションが組み合わされています。この組み合わせにより、カスタム計測器の作成や新規の規格や変更される規格に対して、調整、要件の拡張や変更に伴うシステム機能のスケーリングが可能です。

確度を追求して設計された測定システム

仮想計測器と従来型計測器の類似点をより理解するため、両タイプの測定サブシステムを考えてみましょう。図2に、現行の計測器のほとんどに見られる測定コンポーネントのブロック図を示します。この図は、前述の従来型計測器の測定サブシステムを表しているとも、仮想計測器のモジュール式ハードウェアコンポーネントの1つのブロック図を表しているとも考えられます。


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図2. 現行の一般的な計測器に見られる測定システムのブロック図

まずアナログ信号が集録され、アナログフロントエンドに入力されます。アナログフロントエンドには信号のスケールと信号調節が含まれます。アナログ信号がこのフロントエンドを通過すると、信号はA/D変換器(ADC)によってデジタル化されます。デジタル値は処理や解析のためにオンボードメモリに格納されます。この後処理には、測定システム内でのデジタル信号処理(DSP)、システムの処理コンポーネント内での集録後処理、またはオフライン解析用ロギングがあります。

校正の基礎

モジュール式ハードウェアにおける測定コンポーネントの機能を確認したところで、校正の基礎が仮想計測器の考え方にどのように適用されるかを知るために、その基礎を理解することが重要となります。測定システムの校正には、なんらかの基準に従った性能の検証と、必要であればその基準を満たすための計測器の調整という2つの主要な行為が必要です。

検証は、計測器の校正にとって重要な手順です。この手順では、計測器は既知の値を測定しますが、この既知の値はほとんどの場合、高確度の校正基準により供給されます。この測定結果を、通常は製造元の仕様によって定義される、デバイスに要求された性能と比較します。実際の測定値と仕様書に記載された値を比較することで、測定システムの規定された性能特性が得られていることを証明できます。

システムの現在の性能が検証されたら、その仕様を満たすために計測器の能力を必要に応じて調整できるようになります。この調整には、実際の計測器回路自体を変更する場合もあれば、検証時に求めたオフセットに基づく集録データのスケール調整のみの場合もあります。校正の調整手順は、予測値に対応するように測定値を変更します。ただし、予測する値を決め、さらに要求を満たすための調整が実際に必要かどうかを見極めることが重要です。

モジュール式計測器のキャリブレーションを行う

仮想計測器の測定コンポーネントの校正を行うのは、従来型計測器の校正と同様に重要です。しかし、測定システムは分離したモジュール式コンポーネントであるため、計測器の検証や調整にはいくつかのオプションがあります。

検証

ユーザは、複数の方法から選択してモジュール式計測器の性能を検証できます。ただし、測定値と予測値の比較理論はすべての方法で一貫しています。第一の方法は、NIのモジュール式計測器用ドライバのほとんどに付属しているソフトフロントパネルアプリケーションのような、従来型計測器のインタフェースをシミュレートするテストパネルソフトウェアを使用することです。図3に、NI-FGENソフトフロントパネルのインタフェースを示します。従来型計測器に慣れたユーザにとっては、ソフトフロントパネルは性能の検証方法としては最も身近なものでしょう。ただし、異なるテストポイントに対してソフトフロントパネルの設定を手作業で調整する必要があるため、これは効率の最も悪い方法です。この方法ではモジュール式計測器プラットフォームのスピードと柔軟性を活用できません。

図3. NI-FGENソフトフロントパネルを使用して測定性能を検証できます

計測器の性能を検証するもう1つの方法は、ソフトウェアで測定プロセスを自動化することです。従来型計測器のベンダもモジュール式計測器のベンダも、一般的にキャリブレーション手順を公表しており、この手順には仕様に従った性能を検証する方法が含まれています。この手順には、テストポイント、測定方法、およびテスト制限があります。NIが提供する『Calibration Procedures(キャリブレーション手順)』には、性能を検証するために使用する特定ドライバソフトウェア関数の説明が記載されています。性能を検証するのに必要なこれらの関数をプログラムから呼び出すことで、測定プロセスを自動化する仮想計測器プラットフォームの利点を活用できます。

図4. NIが提供するキャリブレーション手順により、測定の検証がプログラム的に実施可能です

最後に、検証の自動化に役立つ市販のソフトウェアプログラムも多数あります。これらのプログラムの中には、検証のための測定を自動化するのと同時に、基準となるキャリブレーション規格の制御も自動化するものもあります。そのようなソフトウェアの例にNIキャリブレーションエグゼクティブがあります。このソフトウェアは、NI LabVIEW、NI-VISA、IVI、NI TestStandなどの技術を使用して、NI計測デバイスの校正を行う統合環境を提供するものです。そのような校正は、外部校正規格との通信にNI GPIBを使用し、キャリブレーションエグゼクティブで自動的に行うことができます。測定の自動化と校正規格の制御の自動化を同時に行うと、製品の検証にかかる時間がさらに短縮できます。キャリブレーションエグゼクティブでは、校正レポートがODBC対応のデータベースに保存されていますので、他のプログラムからでも簡単にアクセスできます。

図5. NIキャリブレーションエグゼクティブを使用して校正の全プロセスを自動化し、検証作業をさらに効率化できます

調整

仮想計測器では、モジュール性を活かすため、検証作業で仕様と測定値を比較した後に行う測定値の調整にいくつかのオプションがあります。測定システムで集録されたデジタル値は一般にオンボード格納され、オンボード処理されるため、多くの場合メモリに格納されたキャリブレーション係数を変更することで計測器の性能を調整できます。たとえば、図6にNI PXI-5652 RF信号発生器のブロック図を示します。黄色に色付けされているのが、キャリブレーション係数を格納するメモリの部分です。


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図6. NI PXI-5652のキャリブレーション係数はオンボードEEPROMに格納されています

キャリブレーション係数は検証データと要求性能に基づいて決定します。NI製品については、ほとんどのハードウェアドライバに調整APIが含まれています。これらのAPIにより、キャリブレーション係数の読み取り、書き込みが行え、またキャリブレーション係数をロックして不正アクセスを防ぐ機能もあります。NIキャリブレーションエグゼクティブや、NIのキャリブレーション手順書にも、公開されているNI仕様を満たすための係数調整が用意されています。図7に、NI-SCOPEドライバ用のキャリブレーションAPIの例を示します。

図7. NI-SCOPE用のキャリブレーションAPI

測定システムのファームウェアで測定を調整する以外に、ソフトウェア定義という仮想計測器の性質がユーザ自身による調整に役立ちます。計測器コントローラでユーザインタフェースを実行するソフトウェアをプログラムして、測定されたデータと既知の基準値の差を補正できます。通常、個々の測定モジュールはオンボードのキャリブレーション係数を使用して別々にキャリブレーションを行います。しかし、ユーザ定義ソフトウェアでは、RFの複数入力複数出力(MIMO)システムで行われるような測定モジュール間の差を調整するため、または端子台、ケーブル、トランスデューサを含む測定システム全体で蓄積される終端間誤差の補正をするためのスケールを実行できます。

校正は、従来型計測器でもモジュール式ハードウェアコンポーネントに基づく仮想計測器でも、あらゆる計測器の保守で重要な位置を占めます。モジュール式は柔軟性や拡張性に富んだ多くの特徴を持ち、その特徴により測定ハードウェアの校正に多くのオプションが提供されています。ソフトウェア定義方式では、測定性能の検証と必要に応じた調整がより簡単です。

その他の関連リソース

その他のNI校正オプション

NIモジュール式計測プラットフォーム

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