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Document Type: Tutorial
NI Supported: Yes
Publish Date: Dec 18, 2009


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ソースメジャーユニットPXI-4132の高精度・高速測定を実現する内部アーキテクチャに迫る

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Overview

本稿では、高精度ソースメジャーユニット(SMU)であるNI PXI-4132の特長と基本的な使い方について解説します。高い精度と速度を実現する内部アーキテクチャについても説明しています。仕様の詳細や購入方法については、NI PXI-4132の製品ページをご覧ください。

NIが提供する高精度ソース製品群

ナショナルインスツルメンツ(NI)は、高精度DCソースとして複数のモジュール製品を提供しています。具体的には、本稿で紹介する高精度SMUのNI PXI-4132に加えて、プログラマブルDC電源のNI PXI-4110や高出力SMUのNI PXI-4130をとりそろえています(表1)。PXI-4132は、これらの中でも最も感度が高い機種です。さらに、PXI-4110/4130に比べて電圧出力のレンジが広く、電圧変化の検出感度が高い上に、電流測定の分解能と確度も向上しました。このほかPXI-4132は、ハードウェアによるシーケンス/トリガ機能も搭載しています。

 


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表1 NIが提供する高精度DCソース製品の比較
PXI-4110、PXI-4130、PXI-4132の3機種を提供しています。この表ではこれら3機種の仕様を、最大電圧(Max Voltage)、最大電流(Max Current)、4象限出力(4-quadrant)、電流測定感度(Current Meas. Sensitivity)、ガーディング機能(Integrated Guarding)、出力タイミング機能(Output timing)、トリガ機能(Triggering)について比較しました。

>>チュートリアル「ソースメジャーユニット(SMU)とは?」も併せてご覧ください。

ここでPXI-4132の出力性能について確認しておきましょう。PXI-4132は、絶縁が施されたSMUチャンネルを1つ備えています。このSMUチャンネルは、図1に示す通り±100 Vの4象限出力が可能で、ソース(吐き出し)時とシンク(吸い込み)時ともに最大2 Wの電力を扱うことができます。電圧レンジは電流レンジによって段階的に変化し、具体的には電流レンジが±20 mAまでは±100 V、それを超えて±50 mAまでは±40 V、それを超えて±100 mAまでは±20 Vです。なおこのSMUチャンネルには、4線式のリモートセンス用端子や外部ガーディング用端子も用意されています。

図1 PXI-4132の出力性能
電圧と電流それぞれのソースとシンク合わせて4象限の出力が可能です。つまり、象限 I ソース(Quadrant I Source)、象限 II シンク(Quadrant II Sink)、象限 III ソース(Quadrant III Source)、象限 IV シンク(Quadrant IV Sink)に対応します。

PXI-4132のアナログフロントエンド構成

図2は、高精度SMUであるPXI-4132のアナログフロントエンド部のアーキテクチャです。この図に示す通り、PXI-4132は電圧出力と電流出力の測定結果を基に電力増幅段を制御するデュアルコントロールループを採用しています。このため、定電圧モードもしくは定電流モードのどちらでも動作が可能です。定電圧モードでは、PXI-4132は高精度の電圧ソースとして機能します。つまり出力端子間の電圧は、負荷の大きさによらず常に、ユーザがあらかじめ設定した値に保たれます。ただし電流の大きさが制限値を超えてしまうと、電圧値が変動する可能性があるため注意が必要です。一方で定電流モードでは、PXI-4132は高精度の電流ソースとして機能します。すなわち負荷を流れる電流は、出力電圧の大きさによらず常に、ユーザの設定値に維持されます。ただし電圧が制限値を上回ると、電流値が変動する可能性があります。


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図2 PXI-4132のアナログフロントエンド部

アナログフロントエンド部のアーキテクチャを簡略化したブロック図で示しました。電圧と電流の両方を測定して、その結果を基に電力増幅段(Power Amp.)をフィードバック制御する仕組みです。

PXI-4132は、出力端子における電圧と電流それぞれの大きさを同時に読み取ることが可能な測定回路を内蔵しています。実際には2個のΣΔ型アナログ/デジタル変換器(ADC)を備えており、一方が電圧の値、もう一方が電流の値を読み取ります。これら2個のADCは、常に同期して動作しています。

またPXI-4132はオートゼロ機能を備えており、これを利用すれば測定品質を高めることができます。さらに、4端子法によるリモートセンスに向けた専用端子(上図中のHI SenseとLO Sense)も搭載しました。これを使えば、ケーブルやスイッチの残留抵抗成分に電流が流れることで発生する電圧降下を補償でき、測定精度を改善することが可能です(ただしこれは定電圧モードでしか利用できません)。このほかPXI-4132のもう1つの特長として、ガーディング用端子(上図中のGuard)を備えていることが挙げられます。このガーディング用端子の出力を使えばケーブルやテストフィクスチャにガーディング技術を適用できるので、漏れ電流の試験や、そのほか高精度の電流測定に最適です。

測定の速度と分解能を最適化

PXI-4132は前述の通り、内蔵のΣΔ型ADCを使って電圧と電流をサンプリングします。このとき、PXI-4132に搭載されている測定回路は次の3つの処理を行っています。

  • 信号変換 — ユーザがあらかじめ設定したアパーチャ時間にわたって、入力信号をサンプリングします。
  • ゼロ変換 — オートゼロ機能が起動されると、入力信号を遮断した状態でサンプリングを行い、その結果を用いて内部オフセットを除去します。ゼロ変換時のアパーチャ時間は、信号変換時のアパーチャ時間と同じ長さです。
  • セトリングタイム(整定時間) — 信号変換とゼロ変換を切り替えた際に、アナログフロントエンド部の回路動作が定常状態に達するまでの時間です。

図3に、1回のサンプル測定における処理の流れを示しました。

図3 PXI-4132の測定サイクル

測定トリガ(Measure Trigger)を受けると、設定されたアパーチャ時間(Aperture Time)にわたって信号変換(Signal Conversion)を実行します。次にオートゼロ機能が起動(Auto Zero Enabled)されると、セトリングタイム(Settling Time)に続いてゼロ変換(Zero Conversion)を実行します。もう一度セトリングタイムが経過してから、測定の完了を通知します(Measure Complete Event)。

PXI-4132では、アパーチャ時間やオートゼロ機能を測定オプションとしてユーザが設定できます。つまりユーザはこれらの設定によって、測定の精度と速度をアプリケーションごとに最適化することが可能です。例えば、アパーチャ時間を長く設定して測定精度を高めたり、短く設定して測定速度を高めたりすることができます。

なおアパーチャ時間は離散的な値のいずれかに設定することが可能で、各値はPXI-4132に電源として供給する商用電力のサイクル数(PLC:Power Line Cycles)によって決まります。具体的には、1サイクルに相当する時間の1/64倍、1/8倍、1倍、8倍などの離散値で、これらをNPLC(Number of PLC)と呼びます。図4は、測定ノイズの大きさがアパーチャ時間に応じて変化することを示しています。例えば、アパーチャ時間が1サイクル分の場合(図中でNPLCが1のとき)、電流測定の感度は1 ppm程度だと読み取れます。1 ppmは、10 μAレンジでは10 pAに相当します。

このようにPXI-4132は、測定速度(NPLC設定)をさまざまな値に切り替えることで感度を最適化できるように設計されています。具体例を挙げると、電流測定レンジが10 μAの場合は通常、100 pAの感度で1秒当たり最大1,000回の測定が可能です。

図4 アパーチャ時間に対する測定ノイズの特性

PXI-4132のアパーチャ時間に対するノイズ(標準値)の特性です。電流測定(実線)と電圧測定(点線)それぞれについて示しています。横軸はNPLC(Number of Power Line Cycles)で、アパーチャ時間を表しています。NPLCは、電源周波数の1サイクルに相当する時間を1単位としており、例えば電源周波数が50HzのときはNPLCが0.1で0.002秒、1で0.02秒、10で0.2秒に相当します。

表2には、PXI-4132で設定可能なアパーチャ時間と、各設定における最大測定速度(1秒間の測定回数)、電流測定時の電流レンジごとのノイズフリー分解能を示しました。なおこの表はセトリングタイム特性の値に基づいて作成されているため、実際のソース測定では速度が若干異なる可能性があります。

NPLC設定

最大測定速度
(1秒間の測定回数)

ノイズフリー分解能の代表値(RMS)

電源周波数60Hz

電源周波数50Hz

10 µA
レンジ

100 µA
レンジ

1 mA
レンジ

10 mA
レンジ

100 mA
レンジ

8

7.5 回/秒

6.25 回/秒

9.2 pA

77 pA

0.95 nA

9.4 nA

89 nA

4

15 回/秒

12.5 回/秒

9.5 pA

97 pA

0.99 nA

9.1 nA

100 nA

2

30 回/秒

25 回/秒

13 pA

110 pA

1.1 nA

12 nA

120 nA

1 (標準設定)

60 回/秒

50 回/秒

16 pA

140 pA

1.3 nA

14 nA

140 nA

1/2

120 回/秒

100 回/秒

18 pA

170 pA

1.7 nA

16 nA

180 nA

1/4

240 回/秒

200 回/秒

24 pA

220 pA

2.1 nA

21 nA

230 nA

1/8

480 回/秒

400 回/秒

34 pA

300 pA

2.9 nA

30 nA

310 nA

1/16

960 回/秒

800 回/秒

46 pA

410 pA

4.1 nA

41 nA

430 nA

1/32

1925 回/秒

1600 回/秒

66 pA

570 pA

5.7 nA

57 nA

600 nA

1/64

3850 回/秒

3200 回/秒

200 pA

2000 pA

19 nA

190 nA

2000 nA

表2 PXI-4132で設定可能なアパーチャ時間と各設定におけるノイズフリー分解能
アパーチャ時間はNPLCを単位として設定します。具体的には、電源周波数の1サイクルに相当する時間を1とし、
それに2のべき乗を掛けた値、もしくは2のべき乗で割った値に設定可能です。

過渡特性が測定速度に影響

アプリケーションに応じて適切なアパーチャ時間を設定し、測定の速度と精度のバランスを最適化することに加えて、セトリングタイムと過渡応答が測定精度に与える影響を考慮することも重要です。

セトリングタイムとは、出力チャンネルの動作が安定な状態に達するまでに要する時間を指します。PXI-4132のセトリングタイムは標準300 μsです(負荷電流の大きさを電流レンジの50 %の値に設定し、電圧を1Vステップで変化させたときに、出力電圧が最終値の0.1 %以内に収まるまでの時間)。特定の大きさの負荷電流でのセトリングタイムに加えて、出力のステップ応答時間もさまざまな負荷における出力の速度を決定する要因になります。図5は、PXI-4132の電流レンジが10 µA、100 µA、1 mAのときのステップ応答の波形です。

図5 電流レンジが10 µA/100 µA/1 mAのときのPXI-4132のステップ応答

3つの波形は、それぞれ負荷容量が異なる3つの条件における標準的なステップ応答です。

表2に示したように、PXI-4132ではアパーチャ時間を適切な値に設定することで、アプリケーションに合わせて所要の出力精度を得ることができます。出力電圧の整定については、量産ラインに向けた高速テストアプリケーションでは最終値の1 %に達すれば十分ですが、特性抽出(キャラクタリゼーション)向けアプリケーションでは0.1 %もしくはそれ以下に収まることが求められます。

プログラムによるハードウェア制御

ナショナルインスツルメンツは、ユーザが高精度SMUをプログラムから制御できるように、ソフトウェアテストパネルであるNI-DCPowerを提供しています(図6)。ユーザはこれを使って、SMUの動作に対するトラブルシューティングやデバッグを迅速かつインタラクティブに実行することが可能です。さらに、プログラミングを手早く進められるようにDCPower Express VIも用意しています。これを活用すれば、グラフィカル開発環境であるNI LabVIEW上で、コンフィギュレーションをベースにした直感的な手法でNIのSMUを制御できるようになります。

SMUのハードウェアを下位レベルで制御するためには、IVI(Interchangeable Virtual Instruments)準拠のNI-DCPower計測器ドライバが利用できます。このドライバが備えるAPI(Application Programming Interface)を介して、ハードウェアの全機能を直感的に操作することが可能です。このほかNI-DCPowerには、簡単な構成から高度なスイープやモニタリングに至るまで、さまざまなサンプルプログラムも含まれています。

図6 ソフトフロントパネルNI-DCPower
ソフトウェア上でフロントパネルとして機能するNI-DCPowerの画面例です。
プログラマブル電源のPXI-4110が備える3つの出力の状態を表示しています。

新型機種であるPXI-4132は、高速シーケンスエンジンを搭載しており、複数台のPXI-4132を同期させたり、単体のPXI-4132をスイッチ装置や高速デジタル装置といったほかの計測器に同期させたりすることが可能です。図7に示すように、PXIバックプレーンを介してイベントやトリガを送受信できるため、プログラミングもテストシステムの結線もともに簡素化できます。この機能を利用すれば、I-V特性の高速な測定に向けて電流と電圧の高精度なスイープを容易に実行可能です。このシーケンスエンジンによってSMUが備えるソース機能を正確に制御できるようになり、高速かつ確定的なタイミング制御を実現できます。さらに、シーケンス制御と測定機能を併用すれば、測定を任意のタイミングで実行することも可能になります。

図7 電圧スイープをトリガ制御で実行するプログラム
トリガ入力によって電圧スイープを実行するPXI-4132向けLabVIEWプログラムの例です。

シーケンスは、計測器に対する出力設定であるセットポイントを複数個、実行順序に沿って並べたものです。このようなシーケンスを実行する際には、出力値をあらかじめ設定した順番で次々に変化させたり(この場合は1つのセットポイントが実行されると、ソース遅延の後、直ちに次のセットポイントが実行されます)、トリガを使って任意の正確なタイミングで出力を変化させたりすることができます(図8)。

図8 PXI-4132が備えるシーケンスエンジンの動作

シーケンス(Sequence)実行とステップ実行(Step)の処理を模式的に示しました。

複数のシーケンスを実行したり、さまざまなポイントで実行中にシーケンスエンジンの同期を取ったり、そのほか高度なコンフィギュレーションなど、各種のオプション機能を利用することもできます。このようにPXI-4132のタイミング回路とトリガ回路は、ソース機能と測定機能を正確に制御したり、ほかの計測器と同期を取ったりすることが可能です。このシーケンスエンジンの特長を生かせるアプリケーションとしては、ディスクリート部品の高速テストやトランジスタのテストなどが挙げられます。

まとめ

高精度SMUであるPXI-4132は、最小10 pAの測定分解能を備え、ガーディング機能を搭載しており、ICやディスクリート部品、プリント基板、ケーブルなどの漏れ電流を高精度に測定する用途に最適です。また、ハードウェアとして内蔵されたシーケンスエンジンを利用することで、ダイオードや有機LEDをはじめとしたさまざまな部品の高速I-V測定も可能になります。さらに、PXIバックプレーンを介して複数のPXI-4132を同期させれば、トランジスタや複雑度がより高い素子でも高速I-V測定を実行することができます。並列テストに向けた応用では、単一のPXIシャーシに最大17個のPXI-4132モジュールを搭載できるため、19インチの4Uラックスペースで17チャンネルの高精度SMUシステムを実現することが可能です。

関連リンク

高精度SMU PXI-4132の製品情報

高出力SMU PXI-4130を利用したトランジスタテスト(英語)

NIの高精度DCソース製品情報

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