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入出力ピンのオープン/ショートテスト、原理とリファレンスデザインを紹介

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Overview

本稿では、PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)計測器を組み合わせて構築したオープン/ショートテストシステムについて技術的な詳細を説明します。このテストシステムを構成するハードウェア要素についてさらに詳しくは「半導体のDCパラメトリック検証:ハードウェア要素(DC Parametric Semiconductor Validation: Hardware Components)」(英語)、ソフトウェア要素については「半導体のDCパラメトリック検証:ソフトウェア要素(DC Parametric Semiconductor Validation: Software Components)」(英語)をご覧ください。

オープン/ショートテストは、電子回路の開放(オープン)と短絡(ショート)を検出するテストです。このテストはさまざまなデバイスを対象に実施されますが、最も一般的なのは半導体チップの検証です。本稿では、CMOSチップのオープン/ショートテストについて手順を詳しく解説します。

オープン/ショートテストの技術的な詳細について掘り下げていく前に、まず半導体チップの検証におけるオープン/ショートテストの位置付けを確認しておきましょう。一般に、半導体チップの検証は構造検証と機能検証の2つに大きく分けられます。構造検証では、チップが不良なく製造されたかどうかを確認します。もう一方の機能テストでは、チップが設計仕様を満たし、最終的な使用環境で設計通りに動作するかどうかを判定します。オープン/ショートテストは半導体チップに集積した保護ダイオード回路に不良があるかどうかを検証するものですから、構造検証に分類されます。

下の図1は、CMOSチップの一般的な内部構成の模式図です。この図に示す通り、各入出力ピンは通常、保護ダイオードとCMOS接続のトランジスタペアからなる回路網を備えています。

図1 CMOSチップの内部構成

入力と出力の各ピンには、CMOS接続のトランジスタペア(CMOS Transistors)と保護ダイオード(Protection Diodes)からなる回路網が集積されています。

各入力ピンのCMOSトランジスタペアはスイッチのように機能し、電流の向きをVDD(チップに供給される電源電圧)からテスト対象(DUT:Device Under Test)の回路へ、あるいはDUT回路から VSS(グラウンド)へと切り替える役割を果たします。入力ピンまたは出力ピンで過電圧状態が発生すると、CMOSトランジスタペアが損傷する恐れがあります。そこでCMOSトランジスタを保護するため、図1のように各信号ピンに保護ダイオード素子が2つずつ接続されています。1つは信号ピンとVDDの間に、もう1つは信号ピンとVSSの間に配置されます。いずれかのピンにVDDを上回る正の過電圧が印加されると、VDD側のダイオードは順方向バイアスがかかって導通状態に切り替わるため、ピンとVDDの間に電流が流れます。同様に、いずれかのピンにVSSを上回る負の過電圧が印加されると、VSSダイオードは順方向バイアスがかかって導通し、VSSとピンとの間に電流が流れます。保護ダイオードは、このような仕組みで過電圧時にCMOSトランジスタペアやDUT回路の損傷を防ぐことが可能です。

VDD側とVSS側の保護ダイオードはいずれも、正常な動作を保証するために、オープン状態やショート状態が発生していないことをテストしなければなりません。保護ダイオードが正常に機能していなかったり欠損していたりするとオープン状態が発生します。一方、以下に示す2つの点が何らかの原因で電気的に直接接続されてしまうと、ショート状態に陥ってしまいます。

•      信号ピンとVDD

•      信号ピンとVSS

•      信号ピンとほかの信号ピン

上記のような短絡回路故障モードでは、半導体チップは正常に動作できません。このためオープン/ショートテストでは、上記の故障モードをすべて確認します。

:CMOS集積回路は、バイポーラトランジスタ技術ではなくFET技術をベースにしているため、正の供給電圧と負の供給電圧(グラウンド)をそれぞれVDD、VSSと呼びます。なお、VDDピンをVCC、VSSピンをGNDと表記することもあります。

ハードウェアのセットアップ

テストのセットアップ

それでは、オープン/ショートテストを実施するためのセットアップについて説明していきましょう。このテストは2つの工程に大きく分けられます。すなわち(1)VDD保護ダイオードのテスト、(2)VSS保護ダイオードのテストです。以下ではこれらについて順番に説明します。

1)VDD保護ダイオードのテスト

信号ピンのVDD側に接続された保護ダイオードのオープン/ショート状態を検出します。まずVSSピンとVDDピン、テスト対象以外のすべての信号ピンを、ソースメジャーユニット(SMU:Source Measure Unit)のグラウンドに接続します。続いて、テスト対象の信号ピンに最小電流(100 μA)を流し込みます。このときVDD保護ダイオードが正常に動作すれば、順方向バイアス状態となって導通します。このため図2に示すように、テスト対象の信号ピンとVDDピンの間に電流が流れます。

 

図2 VDD保護ダイオードのテスト方法

順方向バイアスがかかったときにVDDダイオードの両端で発生する電圧降下を測定すれば、保護ダイオードが正常に動作しているかどうかを判定できます。テスト対象の信号ピンとグラウンド間で測定した電圧が0 V(グラウンドの電位)に近ければ、その信号ピンとグラウンドの間に、VSS、VDD、テスト対象以外の信号ピンのいずれかを介して短絡回路が形成されています。また、この電圧が順方向バイアス時の電圧降下とみなせる範囲を超える場合は、信号ピンとグラウンドの間に開放回路が存在しています。いずれにも該当せず、この電圧が順方向バイアス時の電圧降下とみなせる範囲に収まっていれば、保護ダイオードは正常に動作しています。表1に、VDD保護ダイオードテストの良否判定基準の例を示しました。

テスト対象ピンの電圧値

良否判定

0.2 V未満

不良(ショート状態)

0.2 V以上、1.5 V未満

1.5 V以上

不良(オープン状態)

表1 VDD保護ダイオードテストの良否判定の基準例

 

信号ピンとグラウンド間の電圧が0 Vに近い場合、テスト結果は「ショート状態で不良」になります。テスト対象以外の信号ピンがすべてグラウンドに接続されていなくても、電流は図2のように順方向バイアス状態のVDD保護ダイオードを介して流れるため、テスト結果は「良」となります。

:このテストでは、VSS保護ダイオードは逆方向バイアスがかかった状態になるため、わずかな漏れ電流以外は電流が流れません。 

:順方向バイアス時のダイオードの電圧降下は一般に、使用する半導体材料によって決まります。ただし、製造技術の工夫によってこの電圧降下を低減することも可能です。シリコンを材料とするダイオードでは、順方向バイアス時の電圧降下は通常0.65 V程度になります。電圧降下の正確な値は、ダイオードのPN接合を流れる電流や、接合温度、複数の物理定数によって決まります。順方向バイアス時の電圧降下と電流の関係は、下に示す図3の数式で表すことができます。この数式は「ダイオード方程式」として知られています。

 

図3 ダイオード方程式

 

式中の記号の意味は以下の通りです。 

ID=ダイオードを流れる電流(単位はA) 

IS=飽和電流(単位はA) 

VD=ダイオード両端の電圧降下(単位はV) 

N=補正値(1~2の範囲の値をとる) 

Vt=熱電圧(単位はV、室温において約25.85 mV)

 

(2)VSS保護ダイオードのテスト

VSS側の保護ダイオードのテスト手順は、先に説明したVDDダイオードと基本的には同じです。テスト対象以外のピンは、VSSもVDDもすべてSMUのグラウンドに接続します。VSSダイオードテストで1つだけ違う点は、対象ピンに大きさが先ほどと同じで向きが逆の電流(-100 μAの負電流)を印加することです。VSS保護ダイオードは正常に動作すれば順方向バイアス状態になって導通し、図4のようにVSSと信号ピンの間に電流が流れます。

図4 VSS保護ダイオードのテスト方法

 

:このテストでは、VDD保護ダイオードは逆方向バイアスがかかった状態になるため、わずかな漏れ電流以外は電流が流れません。

順方向バイアス時にVSSダイオードで発生する電圧降下を測定すれば、この保護ダイオードが正常に動作しているかどうかを判定できます。表2はVSS保護ダイオードテストの良否判定基準の例です。

テスト対象ピンの電圧値

テスト結果

-0.2 V以上

不良(ショート状態)

-0.2 V未満、-1.5 V以上

-1.5 V未満

不良(オープン状態)

表2 VSS保護ダイオードテストの良否判定の基準例

自動テストのセットアップ

次に、VDD/VSS保護ダイオードテストを自動化する方法について説明します。図5に示す通り、プログラム機能を備えたSMUにスイッチマトリクス装置をフロントエンドとして組み合わせてテストシステムを構築します。スイッチマトリクス装置は、オープン/ショートテストそれぞれに向けて、半導体チップのVDD/VSS/信号ピンとグラウンドとの接続を事前の設定に従って自動的に切り替える機能を担います。SMUは半導体チップに印加する測定用の電流を生成するとともに、テスト対象ピンとグラウンド間の電圧を測定する役割を果たします。

図5 オープン/ショート自動テストのシステム構成

以下に、上図の自動テストシステムを使ったオープン/ショートテストの処理を順番に説明します。

 

ステップ1:すべてのピンをグラウンドに接続する。

マトリクス(行列)状に並べたFETスイッチ群を内蔵したスイッチマトリクス装置であるPXI-2535を使って、SMUであるNI PXI-4130と検証対象の半導体チップを接続します。スイッチマトリクス装置のロー(行)側にSMUのピンをつなぎ、コラム(列)側に半導体チップのピンをつなぎます。チップの全ピンをグラウンドに接続するには、スイッチマトリクス上でSMUのグラウンドをつないだ行と、チップのピンをつないだ列の交点にあるスイッチをすべてオン(導通)状態に設定します。ただしSMUのLoピンとVDDおよびVSS間については、スイッチマトリクス装置を経由せずにケーブルで直接つなぎます。VDDピンとVSSピンはテストの際に常時SMUのLoピンに接続しておけばよく、途中で切り替える必要がないためです。テストの初期状態では、すべての信号ピンがSMUのLoピンに接続されており、テストが始まると信号ピンが1本ずつ順番に、スイッチマトリクス装置を介してSMUの測定チャンネルに接続される仕組みです。

保護ダイオードのテストを実行する前に、VSSとVDDだけでなく、テスト対象以外の信号ピンについてもすべてグラウンドに接続(接地)しておく必要があります。これによって、テスト対象以外の信号ピン同士の間で発生した短絡も確実に検出することが可能です。図6を使って詳しく説明しましょう。2つの信号ピン間に短絡がある場合、本来であればテスト対象ピンとSMUのLoピン間の電圧は表1表2に示した「不良(ショート状態)」の範囲(-0.2~+0.2 Vの間で、理想値は0 V)になり、テスト結果は「不良」になるはずです。ところがテスト対象以外の信号ピンをすべて接地しておかないと、電流が順方向バイアス状態のVDD保護ダイオードを介して流れるため電圧降下が発生し、テスト結果が「良」になってしまいます。


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図6 短絡の検出には信号ピンの接地が重要

右図のようにテスト対象ピン以外の信号ピンを非接地のままにしておくと、短絡があっても保護ダイオードに電流が流れて電圧降下が発生し、「良」と誤って判定されてしまう可能性があります。左図のようにすべての信号ピンを接地しておけば、電流は短絡回路を流れ、ダイオードには流れません。従ってダイオードによる電圧降下が発生せず、「不良」と適切に判定することができます。

ステップ2:SMUのクランプ電圧を3 Vに設定する。

開放状態において生成される電圧を制限するために、SMUにクランプ電圧の上限を設定します。クランプ電圧が設定されていないときに開放状態が発生すると、SMUが非常に高い電圧値を測定します。これによりチップの回路が損傷する恐れがあります。PXI-4130の場合、クランプ電圧値をソフトウェアによって3 Vに設定します。この値に設定する理由は、3 Vであれば開放状態の検出しきい値(1.5 V)を上回るとともに、ほとんどのCMOSチップの耐電圧よりも低いからです。

ステップ3:SMUから±100 μAの電流を出力して半導体チップに印加し、その際に生じる電圧を測定する。

SMUは、各信号ピンが備える2つのダイオードにそれぞれ100 µAと-100 μAの電流を印加し、その際の信号ピンの電圧を測定します。これを信号ピン1本1本について順番に実行していきます。その際に各ピンは順次、スイッチマトリクス装置を介してSMUに接続されます。保護ダイオードが正常に機能していれば、±0.65 V程度(順方向バイアス時のダイオード両端の電圧降下に相当する)の電圧が測定されるはずです。電流を印加した結果生じた電圧を測定したら、テスト基準を示した表と比較し、最終的なテスト結果を判定します。

ソフトウェアのセットアップ

本稿で紹介しているオープン/ショートテストシステムのソフトウェアは、NI LabVIEWとNI Switch Executiveを使って開発しています。LabVIEWをアプリケーション開発のメイン環境として用い、Switch Executiveを高密度マトリクスの経路設定に利用します。具体的には、以下のバージョンを使ってテストアプリケーションを実装しました。

グラフィカルプログラミング環境:LabVIEW 8.5

スイッチ管理ソフトウェア:Switch Executive 2.1.1

なお、本稿で取り上げるLabVIEWコードは、本稿の末尾にあるリンク先からダウンロードしていただけます。

:LabVIEWのグラフィカルプログラミング言語では、機能ブロックは仮想計測器(VI:Virtual Instruments)と呼ばれています。このセクションでソフトウェア設定手順について説明する際には、省略形の「VI」を用います。

前述の通り、オープン/ショートテストは、(1)VDD保護ダイオードテストと、(2)VSS保護ダイオードテストという2つの工程に分けられます。いずれの工程もハードウェアの接続を変更することなく実施でき、プログラミングにおける両工程の違いについても、SMUが供給する電流の向きを変える程度です。両工程に大きな差異がないので、本稿ではVSS保護ダイオードのテスト方法を示したサンプルコードを例にとって説明します。このコードをコピーして若干の変更を加えれば、VDD保護ダイオードのテストが可能です。変更が必要な部分については、本稿の最後で詳しくお伝えします。

以下に、VSS保護ダイオードのテスト手順を示します。

1. SMUを初期化、構成(コンフィギュレーション)し、SMUの出力を有効化する。

2. スイッチマトリクス装置を初期化し、測定対象である半導体チップのピンをすべてグラウンドに接続する。

3. マトリクス状に並んだ544個のクロスポイントを用いて接続を切り替え、信号ピンを順番にテストする。

a. テスト対象の信号ピンをグラウンドから切り離す。

b. テスト対象の信号ピンにSMUを接続する。

c. テスト対象の信号ピンとグラウンド間の電圧を測定する。

d. 電圧の測定結果を基に、テスト対象の良否を判定する。

e. テスト対象の信号ピンからSMUを切り離す。

f. テスト対象の信号ピンを再度、グラウンドに接続する。

4. SMUの出力を無効化し、SMUのセッションハンドルを閉じる。

5. すべての信号ピンをスイッチマトリクス装置から切り離し、Switch Executiveのセッションハンドルを閉じる。

以下では、これらの手順について1つずつ詳しく説明していきます。

SMUを初期化、構成し、SMUの出力を有効化する

LabVIEWのNI-DCPower APIを使って、SMUであるPXI-4130の出力を初期化、構成、有効化します。図7は、この一連の処理に対応するブロックダイヤグラムコードです。


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図7 SMUの出力を初期化、構成、有効化するLabVIEWコード

 

Initialize VIにSMUのリソース名を入力してSMUを初期化し、SMUセッションハンドルを取得します。このSMUセッションハンドルは、後段のすべてのNI-DCPower VIに送られます。次にSMUのチャンネル1を直流電流(DC Current)源として構成します。これがテスト実行時に半導体チップへの電流供給源となります。NI-DCPowerの構成VI群はどのような順序で接続しても構いませんが、SMUの出力を有効化する前に必ずすべてのパラメータを設定するようにしてください。設定が必要なパラメータは、電流レベルや、電流レベル範囲、電圧制限、電圧制限範囲などです。

初期化VIの後には、niDCPowerのプロパティノードが続きます。このステップでは、電流レベルと電圧制限の入力値に基づいて、SMUが電流レベル範囲と電圧制限範囲を自動的に決定して設定するようにプログラムします。このプロパティノードに続くVIは、SMUがDC電流モードに設定されているかどうかを確認します。次に、電流レベルを-100 μAに設定します(VSS側の保護ダイオードをテストする場合はチャンネル1をこのように構成し、電流がSMUに向かって流れてVSS保護ダイオードに順方向バイアスがかかるようにします)。また、電圧制限(クランプ電圧)は3 V(±3 Vに相当する)に設定されます。

最後に、Configure Output Enabled VIにブール値の真(true)が入力されると、構成パラメータがSMUに引き渡されるとともにSMUのチャンネル1から-100 μAの電流が流れ始め、SMUの出力が有効化されます。

スイッチマトリクス装置を初期化し、測定対象である半導体チップのピンをすべてグラウンドに接続する

スイッチマトリクス装置を初期化し、VDDとVSS、半導体チップの信号ピンがすべてグラウンドに接続されている状態に設定します。LabVIEWを用いてスイッチを制御する方法はいくつかありますが、スイッチマトリクス装置をシステムとしてプログラムする際に最適なのはNI Switch Executive APIを用いる方法です。図8は、このブロックダイヤグラムコードです。

図8 スイッチマトリクス装置を初期化し、半導体チップの全ピンをグラウンドに接続

 

Open Session VIにNI Switch Executive(NISE)の仮想デバイス名(Virtual Device Name)を入力し、システム内のすべてのスイッチに対してセッションハンドルを開きます。NI Switch Executiveはこれらのセッションハンドルを単一のNISEセッションハンドルに格納します。このNISEセッションハンドルは、後続のすべてのNISE VIに送られます。Disconnect All VIは、NI Switch Executiveセッションが管理する各スイッチ上の接続をすべて遮断します。その結果、スイッチシステムの構成を「スイッチ経路が一切接続されていない」という既知の状態に設定できます。最後に、ルートグループ(Route Group)である「GND to DUT」で指定された経路がすべて接続され、スイッチマトリクス装置はVDDとVSS、信号ピンをすべてグラウンドに接続した状態に設定されます。

NI Switch Executiveの仮想デバイスとその作成方法に関する詳細は、本稿の末尾に掲載されたリンク先にあるNI Switch Executiveの動画デモをご覧ください。

信号ピンを1本ずつ順番にテストする

LabVIEWの「Forループ」機能を利用し、半導体チップの信号ピンを1本ずつ順番にテストします。図9にブロックダイヤグラムコードを示しました。Forループ内では、NI Switch Executive VIを使ってテスト対象の信号ピンをグラウンドから切り離し、SMUのチャンネル1に接続します。次にNI-DCPower VIを使って、信号ピンとグラウンド間の電圧を測定します。その後、Forループで次のテストを繰り返す前に、SMUのチャンネル1からテスト対象の信号ピンを切り離し、再びグラウンドに接続しておきます。

図9 信号ピンをテストするブロックダイヤグラムコード

テスト対象の信号ピンをグラウンドから切り離してSMUを接続し、電圧測定を実行します。その後、信号ピンをSMUから切り離して、再度グラウンドに接続します。

上のブロックダイヤグラムコードでは、次の処理を順番に行います。

a. テスト対象の信号ピンをグラウンドから切り離す。

b. テスト対象の信号ピンにSMUを接続する。

c. テスト対象の信号ピンとグラウンド間の電圧を測定する。

d. 電圧の測定結果を基に、テスト対象の良否を判定する。

e. テスト対象の信号ピンからSMUを切り離す。

f. テスト対象の信号ピンを再度、グラウンドに接続する。

信号ピンを切り離したり再度接続したりする処理には、NI Switch Executiveで作成したルートグループを用います。ルートグループを使用すると、スイッチマトリクスを所望の状態に設定することが可能です。ルートグループとその作成方法の詳細については、本稿の末尾に記載されたリンク先にあるNI Switch Executiveの動画デモをご覧ください。1つ目のルートグループには半導体チップの信号ピンをグラウンドに接続する経路、2つ目のルートグループには信号ピンをSMUのチャンネル1に接続する経路を定義しておきます(図10)。


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図10 ルートグループを使えば信号ピンの接続経路を正確かつ簡単にインデックス化できる

次に、全ルートグループから個々のルート名を抽出します。これにはLabVIEWのNI Switch Executive構成APIを使います。このAPIを使えば、NI Switch Executiveが備えるすべての機能をプログラムから利用することが可能です。この抽出作業によって、ルートグループ1とルートグループ2のルート名を格納した2つの文字列配列が得られます(図11)。

図11 NI Switch Executive構成APIでルート名を文字列配列として取り出す

 

これらの配列をForループに送ると、自動的に配列がインデックス化されます。例えばループ処理の繰り返しの1回目では、インデックス化されたルートのうちDUT_Signal_Pin0_to_GNDDUT_Signal_Pin0_to_SMU_Channel1が接続/遮断されます。繰り返しの2回目では、DUT_Signal_Pin1_to_GNDDUT_Signal_Pin1_to_SMU_Channel1が接続/遮断の対象になります。このプロセスは、配列が各要素をインデックス化するまで継続されます。なお命名規則については、この例にならう必要はありません。Switch Exec for OS VIの「ルートグループ1」と「ルートグループ2」の制御フィールドに、ユーザ固有の配列名を入力することも可能です。

次に、電圧の測定結果をテスト対象チップの良否基準に照らし合わせ、テスト対象とした信号ピンのVSS保護ダイオードが「良」か「オープン状態で不良」か、もしくは「ショート状態で不良」かを判定します(図12)。


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図12 電圧の測定値に基づいてテスト結果を判定

 

電圧測定を実行して、テスト結果を判定したら、テスト対象の信号ピンからSMUのチャンネル1を切り離し、再びグラウンドに接続します。

SMUの出力を無効化し、SMUのセッションハンドルを閉じる

NI-DCPower VIを用いてSMUの出力を無効化し、SMUのセッションハンドルを閉じます。図13に、このブロックダイヤグラムコードを示しました。

図13 SMUの出力を無効化し、SMUのセッションハンドルを閉じる

 

Configure Output Enabled VIにブール値の偽(false)が入力されると、チャンネル1からの-100 μAの電流供給が中断され、SMUの出力が無効化されます。Close VIはSMUセッションハンドルを閉じて、それまで確保されていたSMUリソースを再配置します。

:Close VIを呼び出した時点で出力がまだ有効化されている場合、チャンネル1の電流状態は維持され、電流の吸い込み(シンク)が続きます。

すべての信号ピンをスイッチマトリクス装置から切り離し、Switch Executiveのセッションハンドルを閉じる

NI Switch Executive VIを使用して、VDDとVSS、テスト対象以外の信号ピンをスイッチマトリクス装置から切り離し、NISEセッションハンドルを閉じます。このブロックダイヤグラムコードを図14に示します。

図14 すべての信号ピンを遮断し、NISEセッションハンドルを閉じる

 

Disconnect All VIは、NI Switch Executiveセッションが管理する全スイッチの接続をもう一度すべて遮断することで、スイッチシステムの構成を「スイッチ経路が一切接続されていない」という既知の状態に設定します。Close Session VIはシステム内のすべてのスイッチに対するセッションハンドルを閉じます。必須ではありませんが、エラーハンドラを用意しておくと便利です。エラーが発生した場合、エラーハンドラは当該エラーの説明を返すとともに、オプションでそのエラーに関する情報をダイアログボックスに表示することが可能です。

VDD保護ダイオードテスト用にコードを変更する

上記のVSS保護ダイオードテストをVDD保護ダイオードテストに切り替えるには、まずSMUを無効化して、次にSMUがチャンネル1から-100 μAではなく+100 μAの電流を供給するように構成を変更し、その後でSMUを再度有効化します。Forループ内の処理は一切変更する必要はありません。すなわちVDD保護ダイオードのテストでもVSS保護ダイオードのテストとまったく同様にスイッチを接続/遮断し、電圧測定とテスト結果の判定を実行します。

VSSダイオードとVDDダイオードのテスト結果を組み合わせる

VSS保護ダイオードテストとVDD保護ダイオードテストの結果を組み合わることによって、信号ピンごとの最終的なテスト結果を判定できます。つまり、両方の保護ダイオードがともに「良」と判定された場合に限り、最終的にその信号ピンを「良」だと判定することができます。テスト結果の表示方法としては、ブール値をLEDアレイに入力したり、配列内に文字列クラスタをフォーマットして表示したりするなど、複数の方法があります。

関連リンク

 

1. 半導体DCパラメトリックテストのリファレンスデザイン(DC Parametric Semiconductor Test Reference Design)(英語)

2. オープン/ショートテスト:ハードウェア要素(Opens and Shorts Testing: Hardware Components)(英語)

3. オープン/ショートテスト:ソフトウェア要素(Opens and Shorts Testing: Software Components)(英語)

4. 高出力SMU「NI PXI-4130」の製品情報

5. FETマトリクススイッチ「NI PXI-2535」の製品情報

 

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