新型汎用計測器で従来型計測器の課題を解決

柔軟性に優れたハードウェアテクノロジのお陰で、Virtual Instrumentation(仮想計測器)の活用範囲が拡大し、汎用計測機能が使用できるようになりました。新製品 NI PXI-4071(7 1/2桁FlexDMM)と NI PXI-5922(可変分解能デジタイザ)は、大幅なコスト削減が可能であるだけでなく、従来型計測器複数台分の機能に加え新しい種類の計測が行える汎用計測器です。例えば、PXI-5922デジタイザでは、-108 dBc を上回るスプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)において最大100 kHz まで集録したり、PXI-4071 FlexDMM を使用することでピコアンペアからキロボルトまでの信号を1.8 MS/秒でデジタル化することができます。こうした計測機能は、高精度オーディオテスト、A/D 変換器(ADC)特性、低ノイズ通信計測で重宝されます。
26ビットの汎用 DC 計測デバイス
デジタルマルチメータ(DMM)はデバイス1つで電圧、電流、抵抗など様々な信号を測定することが可能なため、長い間 DC 計測における汎用計測器とみなされてきました。新製品 NI PXI-4071FlexDMM は、ソフトウェアで設定することにより、上記のような従来の DMM の機能以外に、高確度な7 1/2桁(26ビット) DMM または1.8 MS/秒の絶縁型高電圧デジタイザとしても使用できます。
DMM として設定した場合、FlexDMM はあらゆるプラットフォームにおいて業界で最も正確な7 1/2桁 DMM として動作し、標準2.5 ppm 24時間 DC 電圧精度と、±10 nV~1,000 V (700 Vrm(s 実効値))の計測感度を実現します。FlexDMM では、±1 μA ~3 A の電流測定レンジで8段階の DC 電流と100 μA ~3 A(4.2 Vp)の範囲で6段階の AC rm(s 実効値)電流が利用できる、新しいソリッドステート電流シャント設定が可能です。1 μA のレンジでは、FlexDMM の分解能は±1 pA(10-12 A)となっており、この計測感度は、ディスクリート半導体デバイス上の IV 曲線追跡や漏電テストなどのアプリケーションに必須です。また10 μΩ~5 GΩ の高確度抵抗計測や、周波数/周期およびダイオード計測を行うこともできます。
1.8 MS/秒の絶縁型デジタイザモードでは、連続していない独立した分解能レンジからしか選択できない従来の DMM とは異なり、ソフトウェアにより分解能レンジを10~23ビットまで変更できるため、アプリケーションの要件に合った周波数/分解能を提供します。 FlexDMM は全ての分解能において、最大1.8 MS/秒のサンプリングレートで、±700 Vrm(s 実効値)、±3 A までの DC 結合電圧・電流波形を集録することができ、燃料電池テストなどのアプリケーションで必要とされる内蔵の絶縁機能により、PXI-4071では最大500 V のコモンモード電圧の差動波形を測定することが可能です。この絶縁デジタイザ機能と NI LabVIEW ソフトウェアを併用することで、過渡状態、フライバック信号、他の非周期的な高電圧 AC 波形などを、時間領域と周波数領域の両方で解析することができます。

図1.新しい NI デバイスの登場により、Virtual Instrumentation の適用領域が拡大し、従来比で最大10倍の優れた分解能と、特定の分解能で最大16倍という高いサンプリングレートを実現
24ビットの汎用計測デバイス
NI PXI-5922可変分解能デジタイザは、ダイナミック計測用の汎用計測器です。DMM が複数の DC 計測器の機能を1つの計測器に集積させたものであるのと同様に、PXI-5922は多数の計測器の機能を1つのデジタイザにまとめ、これまでの AC 計測に大きな変化をもたらしています。LabVIEW とデジタイザの統合により、NI PXI-5922はオーディオアナライザ、スペクトルアナライザ、IF デジタイザ、DC や RMS 電圧計、周波数カウンタなどが提供する計測機能と同等もしくはそれ以上の機能を提供します。
他の PC ベースのデジタイザや従来型計測器では一定の分解能でデータ集録を行うのに対し、PXI-5922は可変分解能であるため、サンプリングレートと引き換えに分解能を上げることができます。例えば、15 MS/秒でサンプリングを行っている時の分解能は16ビットとなりますが、これは IF および I/Q ベースバンド信号のデジタル化に最適な分解能です。ここでサンプリングレートを500 kS/秒に下げると、PXI-5922の分解能は24ビットにまで向上し、最大100 kHz までの信号に対して-108 dBc 以上のスプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)を提供するため、従来のオーディオアナライザよりも高い性能を発揮します。この極めて高い柔軟性と分解能、そしてダイナミックレンジは、NI Flex II ADC テクノロジ(拡張マルチビットのデルタ/シグマ型変換器と線形化用の特許済み技術を使用)によって実現されています。詳細は、次ページ「Flex II ADC テクノロジ-新しいデジタル化技術」を参照してください。
PXI-5922は SMC アーキテクチャをベースに構築されているため、複数の PXI-5922デジタイザを緊密に同期させて多チャンネルシステムのアプリケーションを構築することができます。また、この同期機能は、デジタイザ、信号発生器、高速デジタル波形発生器/アナライザなどのミックスドシグナル・テストシステムを構築する際にも重要です。さらに、SMC により PXI-5922デジタイザでは最大256 MB/チャンネルのオンボードメモリを搭載することができます。
統合されたソフトウェアサポート
いずれのモジュールでも、LabVIEW や NI LabWindows/CVI、Visual Basic、C/C++ などの開発環境で一般的な計測を行うための関数を含む計測ドライバを提供しています。さらに、LabVIEW 音響/振動ツールキット、モジュレーションツールキット、スペクトル計測ツールキットなど、アプリケーション固有のツールキットを使用することにより、より複雑な解析機能を追加することも可能です。
より高度な対話式計測機能を必要とする場合には、NI SignalExpress を使用することができます。プログラム開発が不要でドラッグアンドドロップにより構成を行うことができるため、探索的な計測作業や自動計測作業を簡素化することもできます。SignalExpress では、信号の集録、処理、時間/周波数領域解析、ファイル I/O 設定用のステップが標準搭載されているため、計測までの時間の短縮化が可能です。また、DMM、デジタイザ、信号発生器、高速デジタル I/O、M シリーズ DAQ デバイスといった多数の NI モジュール式計測器とデータ集録(DAQ)デバイスに対応しています。
仮想計測器の将来
こうした新型の汎用計測器の導入により、NI は Virtual Instrumentation の限界をさらに拡大し、図1に示したような新しい複雑なテスト/計測アプリケーションの難題を解決する計測機能を提供しています。さらに、機能が限定されるスタンドアロン型計測器と同等以上のシステムをソフトウェア中心に構築することで、システムコストや設置スペース、複雑性を削減することが可能です。
DMM プロダクトマーケティングマネージャー
Kevin Bisking
デジタイザプロダクトマーケティングマネージャー
Kaustubh Wagle
法律関連事項
本チュートリアル(以下「チュートリアル」という)は、National Instruments(以下「NI」という)によって作成されたものです。本チュートリアルは、NIにてサポートされていますが、本チュートリアルの内容に関するテストや検査が完全に行われていない可能性があり、チュートリアルの品質について、もしくは、関連製品およびドライバの各改訂版に対するサポート継続については、何らの保証も適用されません。本チュートリアルは、いかなる保証もなく「作成された状態のまま」で提供されており、ni.com/jpの使用条件に特別に規定されている特定の制約事項に従うものとします。 (http://ni.com/legal/termsofuse/japan/ja/)
