デジタイザ/オシロスコープアプリケーションに適したバスの選択
概要
ナショナルインスツルメンツでは、USB、PCI、PXI、PXI Express など様々な形式のデジタイザ製品をご用意しています。各バスにはそれぞれ独自の機能や利点がありますので、お客さまのアプリケーションに適したバスを選ぶことは大変重要です。このドキュメントでは、予算や性能、将来の拡張性など、バスを選ぶ上で検討すべき重要事項について説明します。
USB
近年の PC や工業用コンピュータはほぼ全ての機種に USB ポートが搭載されていますので、USB が可搬性と使いやすさの代名詞にさえなりつつあります。USB は、セットアップに時間がかからないだけでなく、適切なドライバソフトウェアをインストールした後、USB ポートにコネクタを差し込んで USB デバイスをコンピュータに接続さえすれば、構成やその他の操作は必要ありません。USB はホットプラグ可能なため、デバイスの取り外しのたびにコンピュータの電源を落とす必要もありません。そのためセットアップと移動が簡単です。
上述のような特長を持つ USB は、デジタイザなどの計測器にも非常に適しています。NI USB-5133などのバスパワーUSB デジタイザとノート PC を使用すれば、オシロスコープを使った計測をどこでも行うことができ、プラグアンドプレイ操作によりすばやく計測して簡単に結果を表示することが可能です。要するに、USB は可搬性やすばやいセットアップが求められる場合には最適なバスです。ただし、多くのアプリケーションでは USB が提供する機能以上のものが必要です。自動計測の高速化(高いサンプリングレートでの長時間の計測も含まれます)やチャンネル数の拡張、任意波形発生器やデジタル入力など他の計測器との統合、高分解能などは、他のバスの方が得意とする領域です。
PCI/PCI Express
PCI/PCI Express は、自動計測で力を発揮します。USB と同様、PCI/PCI Express スロットもほぼ全てのコンピュータに搭載されています。PCI の主要なメリットの1つが、理論上最大132 MB/秒に上るデータスループットです。実現可能なスループットはアプリケーションにより異なりますが、PCI のスループットは USB に比べるとはるかに高くなっています。PCI の次世代版である PCI Express は、PCI との互換性も保持し、x4 PCI Express レーンの場合最大1 GB/秒と、桁違いのデータスループットを実現できます。
デジタイザアプリケーションに PCI バスがよく採用されるのは、特にデジタイザを1つだけ使用するアプリケーションの場合、スループットが重要だからです。PCI 計測器が広く利用されるようになるにつれて、計測器数も増え、高サンプリングレートや高分解能、多チャンネルに対応できるようになりました。一般に、PCI は USB に比べて広範な計測に対応し、自動計測の高速化や長時間にわたる計測データ保存が実現できます。そのように PCI には多くのメリットがありますが、アプリケーションの中にはチャンネル拡張のための複数のデジタイザの統合や計測の確度を高めるための同期、システムの信頼性の向上など、より多くのデジタイザ機能が必要となるものもあります。
PXI/PXI Express
PXI/PXI Express は、自動計測に最も適した性能と機能を提供します。PXI(PCI extensions for instrumentation)は、PC ボード型計測器を必要に応じて自由に組み合わせることができ、自動計測の高速化を可能にする PCI/PCI Express バスをベースとした高速データ転送を提供する PC ベースプラットフォームです。PXI Express は PXI プラットフォームの拡張版で、PCI Express の優れたスループットを利用することができます。PXI は、①計測器を格納するシャーシ、②計測機器同士や信号処理用のプロセッサをつなげるバックプレーン、③プロセッサの3つの共有によるコスト削減と省スペースを実現できます。また、プロセッサへの高速データ転送による計測の高速化、ユーザ定義のソフトウェアによる柔軟性の向上と寿命の延長といったメリットがあります。
高スループット
PXI は、デジタイザアプリケーションで最も広く利用されているバスです。そのように幅広く利用される最大の理由は、PCI バスのメリットを活用している点にあります。広帯域幅で遅延時間の少ないバスを使ってデジタイザで測定したデータを PC のプロセッサに高速転送することで、一般的な計測はもちろん、カスタム計測でさえ短時間で行うことができます。各計測間の遅延時間が短くなるので、結果としてテスト時間が短縮されるとともに、テストにかかるコストも低減できます。
広帯域バスは、自動計測以外にもメリットをもたらします。PCI/PCI Express を利用した PXI プラットフォームは、高速データ保存にも適しています。X4 PXI Express スロットでは1 GB/秒に近いデータを転送できるため、PXI Express デジタイザと RAID ハードドライブを共に使用することで、デジタイザの最大サンプリングレートで長時間にわたってデータを保存することが可能となります。つまり、事実上無限のオンボードメモリを搭載しているのと同じです。例えば、GPIB や LXI、USB などのバスを使用した場合数百ミリ秒ほどしか集録できないところを、NI PXIe-5122 100 MS/秒デジタイザと NI HDD-8264 3 TB RAID アレイを使用すれば、最大サンプリングレートで何時間でもデータを取り込むことが可能です。
タイミング/同期
多くの計測・オートメーションアプリケーションでは、PCI/PCI Express、イーサネット/LAN、USB などのバスでは直接実装できない高度なタイミング・同期機能が必要となることもあります。PXI は、そのようなアプリケーションにも使用できる高度なタイミング・同期機能を備えています。
- 100 MHz の差動システム基準クロック
- 10 MHz の基準クロック信号
- 差動型スタートリガ
- スタートリガバスと長さが一致するトリガトレースによりモジュール間の遅延とスキューを最少に低減
- 高速タイミング/トリガ信号を送受信するトリガバス
- 差動信号による複数のシャーシの同期
これらの機能を使用すると、多チャンネルアプリケーションやミックスドシグナルアプリケーションで、複数の NI デジタイザと他のミックスドシグナル計測器(任意波形発生器、デジタル波形発生器/アナライザ)をピコ秒レベルの確度で同期させることも可能です。
システムの信頼性
PXI 仕様は、デジタイザが過酷な環境にも適応するよう定義されています。PXI は、CompactPCI で使用されている高性能な IEC(国際電気標準会議)コネクタと堅牢な Eurocard パッケージングシステムを採用しています。また、PXI 仕様では冷却・環境要件を明確に定義していますので、工業環境でも適切な動作が確実に行えます。モジュール構造は構成や構成変更・修復が容易なので、平均修復時間(MTTR)も少なくすみます。PXI はモジュール式となっているため、システム全体を交換しなくても、個々のモジュールやコンポーネントだけを新しくすることができます。例えば、より高い集録サンプリングレートが必要となった場合、システム全体を変更しなくても、同じソフトウェアを使用して、新しいデジタイザを追加するだけですみます。
まとめ
デジタイザアプリケーションに使用できるバスには様々なものがありますが、それぞれに特有のメリットがあります。USB は持ち運びが必要な場合には最適ですが、PXI では高計測スループット、高分解能、計測器の統合および同期など、高性能な機能が利用できます。導入を検討する際は、アプリケーションの要件、予算の制約、性能、今後の拡張などについてあらかじめ考えておくことで、全てのニーズを満たす最適なアーキテクチャを選ぶことができます。
追加資料
法律関連事項
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