デュアルイーサネットアーキテクチャの概要
概要
ナショナルインスツルメンツは、CompactRIO、Compact FieldPoint、Smart Cameraの各プラットフォームで、イーサネットポートを2個搭載したプログラマブルオートメーションコントローラ(PAC)の新ラインナップを展開しています。イーサネットポートが2個搭載されていることで、工業用I/O通信とエンタープライズネットワーク通信を切り離すことができるため、データの保全性向上や帯域幅の有効利用が可能となります。
はじめに
イーサネットは、ビジネスネットワークやホームネットワークの基幹となるもので、広く普及しているため工業用アプリケーションでもコスト効率の高い確実なネットワークソリューションとなっています。ナショナルインスツルメンツでは、イーサネット技術を利用して、工業用監視・制御アプリケーションでのネットワーク型I/Oを実現するプログラマブルオートメーションコントローラを提供しています。そのようなコントローラを使用すると、ネットワーク経由でのプログラム通信が可能となるため、計測をネットワークで自動公開できます。LabVIEWリモートパネルやWebサーバ、内蔵のFTP/HTTPサーバなどの機能を使用すれば、同じオフィス内にあるデータでも何キロも離れた過酷な環境からのデータでも、I/Oデータに同じようにアクセスすることができます。
デュアルイーサネットポートの追加
イーサネットは、ビジネスや企業で利用しやすいためネットワークに広く採用されています。しかし、工業環境に求められるデータ保全性やセキュリティは大丈夫なのでしょうか。ネットワーク帯域幅やオーバーヘッドなどの問題に対応しながら、計測データを集録したり複雑なシステムを制御したりできるのでしょうか。イーサネットI/Oプラットフォームの信頼性を強化するため、ナショナルインスツルメンツでは、2個のイーサネットポートと高性能PowerPCプロセッサを搭載したPACを発売しました。この製品を使用すれば、リアルタイムコントローラが2つの別々のネットワークで使用できるようになります。1つのポートをホストPCやエンタープライズシステムとのネットワーク通信、もう1つのポートを他のイーサネットデバイスへの拡張I/Oに使用できます。
表1.デュアルイーサネットポート搭載のNI Real-Timeコントローラ
![]() NI cRIO-9074 400 MHz統合リアルタイムCompactRIOコントローラおよび2 MゲートFPGA |
![]() NI cFP-2220 Compact FieldPoint用400Hz Real-Timeコントローラ |
![]() NI 1742 Smart Camera 照明コントローラ内蔵533 MHzモノクロVGA Smart Camera |
![]() NI 1722 Smart Camera 400 MHzモノクロVGA Smart Camera |
デュアルイーサネットアーキテクチャのメリット
デュアルイーサネットポートの最も重要なメリットは、インターネットに接続されているパブリックネットワークとは別に、独自に第2のプライベートネットワークを構築できる点です。エンタープライズネットワークからデバイスを切り離すことで、プライベートネットワーク上のイーサネット帯域幅全体をI/OおよびHMIデータだけに使うことができ、応答時間を向上させるとともにトラフィックの混雑による遅延時間を軽減することができます。
NIデュアルイーサネットテクノロジ
NI Real-Timeコントローラの各イーサネットポートには、ネットワークカードの通常機能が全て備わっています。例えば、2個のポートはどちらもTCP/IP、UDP、Modbus TCPなどのイーサネットプロトコルを使って通信を行います。CompactRIOとCompact FieldPointのデュアルイーサネットポートの転送速度は10/100 Mb/秒、Smart Cameraは2ギガビットのイーサネットポート(10/100/1000 Mb/秒)を搭載しています。
デフォルトでは、シェア変数とFieldPoint APIはプライマリポート(ポート1)からアクセスします。シェア変数はセカンダリポート(ポート2)からアクセスし実装することもできますが、両方同時には使えません。例えば、cRIO-9074コントローラでホストされるシェア変数は、ポート1またはポート2からそれらの別々のサブネットに接続されたデバイスに送られますが、それらのシェア変数は両方のサブネットに同時に送ることはできません。図1の図は、ホストPCがシェア変数1をcRIOのポート1に渡し、cRIOコントローラがそのシェア変数2をcRIOポート2を介してCompact FieldPointシステムに送る様子を示しています。

図1.シェア変数をホストするcRIO-9074システム
シェア変数はコントローラ上の両ポートでアクセスすることはできないため、複数のデュアルポートデバイスを長いデイジーチェーンで接続すると、プログラミングで余計な問題が生じることがあります。1つのコントローラから複数のコントローラへデータを渡すには、スイッチの使用をお勧めします。
これらのコントローラは全て、Measurement & Automation Explorerソフトウェア構成ユーティリティを使用して両ポートのIPアドレスを設定します。NI Smart Cameraは、NI Vision Builder AIを使用して構成することもできます。ステップごとの説明やチュートリアルは、下記リンク先でご覧いただけます。
関連リンク
Real-Timeコントローラのデュアルイーサネットポートの構成方法
デュアルイーサネットポートReal-Timeコントローラ スタートアップガイド
シェア変数を特定のネットワークカードに実装
Vision Builder AIでNI Smart Cameraのシェア変数を使用
サンプルアーキテクチャ
デュアルイーサネットポートを使用してネットワーク型システムのアーキテクチャを設計する際は、以下のサンプルアーキテクチャの利用をお勧めします。図2はデュアルイーサネットポートのコントローラを1台使用した一般的なセットアップを示しています。コントローラのポート1(またはサブネットA)はDHCPまたはスタティックIPアドレスをサポートしていますが、ポート2(またはサブネットB)はスタティックIPアドレスしかサポートしていません。また、図2のプライベートネットワークターゲットとは、イーサネットポートが少なくとも1つ搭載されているI/OまたはHMIデバイスを示しています。ターゲットがReal-Timeコントローラの場合は、シェア変数とFieldPoint APIのホストにできるのは各コントローラで1つのポートだけということを覚えておいてください。

図2.デュアルイーサネットポートコントローラを1つ使用したサンプルアーキテクチャ
デュアルイーサネットポート搭載のコントローラまたはデバイスを複数使用するアプリケーションの場合は、全てのポート1をサブネットAに、全てのポート2をサブネットBに接続するスイッチを使用した図3に示すアーキテクチャをお勧めします。接続されている全てのイーサネットデバイスは、サブネットAでインターネットまたはエンタープライズネットワーク経由でリモート表示または制御が可能ですが、サブネットBはI/Oデータのやり取り専用のネットワークとして、デバイス間で別々に使用します。さらに、両サブネットに各デバイスを接続すると、ホストコンピュータによるIPアドレス構成の管理が簡単になります。

図3.複数のデュアルイーサネットコントローラ/デバイスを使用したサンプルアーキテクチャ
使用例1:
デュアルポートのcFP-2220コントローラの使用例では、ホストPCをポート1に、FP-1808拡張シャーシをポート2に接続します。cFP-1808はReal-Timeコントローラではないため、シェア変数の代わりにFieldPoint APIを使用して、1つのイーサネットポートにデータを渡します。そのため、cFP-2220コントローラは、プライマリポートを使ってシェア変数をホストすることで、ホストPCとcFP-1808の間でデータを自由に受け渡すことができます。
使用例2:
もう1つの例では、cRIO-9074をデュアルポートコントローラとして使用しています。ポート2では、シェア変数、FieldPoint API、Modbus TCPを使って通信する様々なPACやI/Oデバイスに、スイッチを使用して接続します。cRIO-9074は、データを処理し、ポート1に接続されたイーサネットベースのHMI上にデータを表示する中央データベースとして機能します。
まとめ
イーサネットネットワークのメリットを利用したNIのPACプラットフォームは、イーサネットポートを2個搭載しているため工業用監視・制御システムに最適です。堅牢なReal-Timeコントローラで計測データとHMIデータを切り離すことで、帯域幅の使用法を簡単に制御し、専用のセカンダリネットワークでデータの保全性を維持することができます。エンタープライズネットワークと拡張I/Oネットワークを切り離すことにより、イーサネットベースの工業用アプリケーションの信頼性を高めることができます。
関連リンク
デュアルイーサネットポートReal-Timeコントローラ スタートアップガイド
NI cRIO-9074製品ページ
NI cFP-2220製品ページ
NI Smart Camera製品ページ
法律関連事項
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