NI Compact FieldPointコントローラのリアルタイム性能ベンチマーク
概要
NI Compact FieldPointは、上級組込制御、データロギング、ネットワーク接続などを行う工業用制御アプリケーション用に設計されたプログラマブルオートメーションコントローラ(PAC)です。工業環境での使用を目的とした信頼性の高い堅牢なプラットフォームで、優れた耐衝撃・振動性能を備え、-40~70℃という広い温度範囲に対応しています。ただし最も重点が置かれているのはその使いやすさで、制御アプリケーションをわずか数分で構築することが可能です。Compact FieldPointコントローラではLabVIEW Real-Timeソフトウェアが実行できるため、コンパクトなモジュール式プラットフォーム上でLabVIEWの優れた機能性、接続性、柔軟性を活用することができます。
目次
はじめに
ナショナルインスツルメンツが先ごろリリースした新しいCompact FieldPointコントローラを使用すると、制御アプリケーションのシステム性能と速度を向上させることができます。cFP-2220は、高速処理性能と高いメモリ容量を備え、イーサネットのスループットを10倍に高めるLabVIEW Real-Timeコントローラです。本技術資料では、新製品のcFP-2220コントローラの新機能について説明するとともに、先行機種であるcFP-21xx/cFP-20xxコントローラの処理性能と比較し、I/OおよびCPU性能の向上についてのベンチマークを行います。また、本コントローラを制御アプリケーションに使用した場合の技術的なメリットについても触れます。さらに最後のセクションでは、チャンネル間絶縁機能と10 kHzのサンプリングレートを備えた8チャンネルアナログ入力モジュール、cFP-AI-118モジュールのベンチマークも行います。
cFP-2220は、先行機種と比べて以下のような点で改善されています。
- 処理能力の向上 – cFP-22xxコントローラは、工業用の400 MHz Freescale MPC5200リアルタイムプロセッサを搭載しているため、工業レベルの信頼性が求められる分散型のインテリジェントアプリケーションに適しています。Wind River VxWorksリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)上でLabVIEW Real-Timeモジュールを実行することで、信頼性と確定性を最大に高めています。新しいプロセッサとオペレーティングシステム技術の組み合わせにより、cFP-2020コントローラの3倍から5.5倍に相当する処理能力を実現することが可能となります。
- メモリ容量の向上 – cFP-2220コントローラは、256 MBのSDRAMと256 MBの不揮発性オンボードメモリを搭載しています。これは、従来のCompact FieldPointコントローラのメモリの2倍にあたります。さらにストレージの追加や組込データロギングアプリケーション用に、取り外し可能なCompactFlashスロットと、USB大容量ストレージデバイス用の新しいUSBポートが搭載されています。
- イーサネットスループットの向上 – cFP-2220に新たに搭載された2個のイーサネットポートにより、エンタープライズネットワークと専用のI/Oネットワークの両方への接続が可能となります。RS-232ポート3個とRS-485ポート1個を併せて使用することで、TCP/IP、UDP、Modbus、シリアルなどのプロトコル経由での通信や、内蔵のWeb(HTTP)サーバおよびファイル(FTP)サーバの利用もできます。

図1.cFPコントローラのイーサネットスループット
cFP-2220ベンチマーク
ナショナルインスツルメンツでは、cFP-2220コントローラの速度を先行機種のcFP-2120およびcFP-2020と比較するベンチマークテストを複数実施しました。これらのベンチマークテストでは、CPUとメモリの向上の結果としてのI/O速度向上、PIDループレート、処理能力を分析しています。
セットアップ
ベンチマークテストには、cFP-2x20コントローラ3台と、cFP-AIO-610、cFP-AI-118、cFP-DIO-550モジュールを使用しました。制御VIはLabVIEWで作成され、Compact FieldPointコントローラに組み込んだ状態で実行されます。
ベンチマークテストはPIDループをシミュレーションしたもので、モジュールを使ってデータの読み書きを行い、PID計算を完了します。図2は、そのような制御VIの例を示しています。FP Write/Read VIをベンチマークで使用したのは、FP Write VIとFP Read VIを別々に使用するより高い性能が得られるためです。
制御VIは、通常優先度とタイムクリティカルの2つのモードで実行しました。通常優先度では、制御VIは高優先度タスクが実行を完了するのを待機します。タイムクリティカルモードで実行するようVIを設定することで、制御VIは常に他の処理やVIより優先して確定的に実行します。
ベンチマークI - 単一のPIDループ/デジタルループの実行レート
3つのコントローラの処理速度を比較するため、cFP-AIO-610モジュールを使用して1つのPIDループの実行レートのベンチマークを行いました。これらのループではデータの検証が行われていないため、このデータはソフトウェアオーバーヘッドのみを表しています。図3に示すように、cFP-2220コントローラの処理速度はcFP-2020コントローラに比べ4~5.5倍に、cFP-2120は2~2.5倍に向上しています。

図3.単一のアナログPIDループの実行レート
同様のテストをcFP-550で実施して、デジタル制御ループの実行レートを計算しました。cFP-DIO-550 16チャンネルデジタルI/Oモジュールは、cFP-AIO-610モジュールに比べアップデートレートが速いため、図4に示すループレートは、アナログモジュールと比較したときDIOモジュールの方がわずかに速くなっています。cFP-2220コントローラは、cFP-2020コントローラに比べ5~5.5倍の速度で実行しました。

図4.単一のデジタルPIDループの実行レート
ベンチマークII – マルチチャンネルPIDのレートとスケーラビリティ
このベンチマークテストでは、3つのコントローラをcFP-AIO-610モジュールとともに使用した際に複数のPIDループを処理する速度を比較します。このテストは、単一のコントローラにおける複数の同時PIDループの実行をシミュレーションしています。最大速度を実現するため、マルチチャンネルのFieldPointアイテムを使用して書き込み/読み取りを行い、1つのWhileループで並列PIDを使用します。このループではデータの検証が行われていないため、このデータはソフトウェアオーバーヘッドのみを表しています。図5は、複数のPIDループの実行レートを比較したものです。どのケースでも、cFP-2220の実行レートが他のコントローラより高くなっています。cFP-2020に比べると、3~5倍にもなります。

図5.アナログマルチチャンネルPIDループレート
ベンチマークIII - 数式演算アルゴリズムおよびデータ解析の処理速度
3つのコントローラの演算速度を比較するテストでは、各コントローラが複雑な数式演算アルゴリズムの処理にかかった時間を計算します。ここでは、シミュレーションの正弦波に対し高速フーリエ変換(FFT)を行っています。FFTはCompact FieldPointで一般的に行われる解析ではありませんが、この解析は演算負荷が高く新しいプロセッサの能力を試すのに適しています。図6に示すように、cFP-2220は通常優先度で12倍、タイムクリティカルで18倍の速度となります。

図6.FFTループの実行レート
cFP-AI-118のベンチマーク
チャンネル間絶縁機能付きのcFP-AI-118アナログ電圧入力モジュールを利用することで、Compact FieldPointシステムでのデータ集録のパフォーマンスが向上します。cFP-AI-118モジュールは、デュアルメモリアクセスをサポートする新しいアーキテクチャに基づいて設計されています。このアーキテクチャでは、コントローラがモジュールのメモリに直接アクセスし、集録データをすばやく取り出すことができるため、ジッタを大幅に軽減することができます。
このベンチマークテストでは、正弦波をモジュールに供給し、そのモジュールが信号を100 Hzで読み取ります。白の滑らかな曲線は入力正弦波、赤のギザギザした曲線は集録データを表しています。cFP-2120コントローラでcFP-AI-118(図7a)とcFP-AIO-610(図7b)の集録信号を比較した場合、その違いは顕著です。cFP-2120/cFP-AI-118の組み合わせでは、cFP/2120/cFP-AIO-610の場合に比べはるかに正弦波に近い信号が得られています。これは、cFP-AI-118モジュールの高サンプルレートとコントローラからモジュールメモリへの直接アクセスによって実現したものです。
関連リンク:
NI cFP-AI-118製品ページ
まとめ
これらのベンチマークテストは、Compact FieldPointコントローラの処理速度と性能が向上していることを示しています。cFP-2220コントローラのソフトウェア実装速度は、シンプルなPIDループでcFP-2020コントローラに比べ最大で5倍になっています。さらに本コントローラは、FFTなどの演算もcFP-2020に比べ約18倍の速度で実行します。最新のCompact FieldPointコントローラとアナログ入力モジュールを使用することで、技術者は制御アプリケーションをより自由に使いこなせるとともに、特定の時間内により多くの情報を処理し、信頼性の高いデータを短時間で集録することが可能となります。Compact FieldPointのベンチマークに関する詳細は、下記リンク先でご覧いただけます。
関連リンク:
NI cFP-2220製品ページ
LabVIEW Real-Time FieldPointシステムのベンチマーキング
ナショナルインスツルメンツのリアルタイムハードウェアで実現するシングルポイント性能のベンチマーキング
ナショナルインスツルメンツのデータロガーハードウェア
法律関連事項
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