NI製品を使用した効率的なアナログビデオ測定
概要
エレクトロニクス技術が進化を続ける中で、アナログ/デジタルビデオも改良され高画質な映像を消費者に届けています。現在ではデジタルビデオインタフェースの方が多く開発されていますが、アナログビデオインタフェースを搭載した機器もまだ数多く存在します。そしてそれらの機器もテストが必要です。アナログビデオには、コンポジット(PAL/NTSC)ビデオから高精細HDTV(ハイビジョンなど)まで、様々な信号フォーマットがあります。通常テレビ放送に関連するものが多いアナログビデオ製品ですが、CCDビデオカメラやビデオレコーダ、コンピュータグラフィックスカード、DVDプレイヤー、セットトップボックスなどアナログテレビやビデオモニタに接続するあらゆる機器も含まれます。 このドキュメントでは、アナログビデオ信号を生成する製品の評価や計測を短時間かつ低コストで実施する方法を説明します。アナログビデオに加え、HDMIまたはDVIのデジタルビデオテストとオーディオの評価を同じプラットフォーム内で統合して、さらに効率を高める方法も示します。さらに、ビデオテストソリューションの例とデモもご覧いただけます。アナログビデオ信号のテスト方法についてお読みになる前に、 技術資料:“アナログビデオの基本” をご覧いただくと、アナログビデオ信号についてより深く理解することができます。
アナログビデオ評価
製品の評価やテストでは、テストにかかる時間を短縮してテスト単価を下げることが重視されます。機能の評価は製品検証や製造時に行われるもので、ビデオ信号のカラーや輝度レベルをテストしたり、異なる解像度へのスケーリング、画質の向上、ノイズの軽減、その他のビデオ処理を行うための信号処理機能を検査します。設計検証では、多くの計測を行う必要があるため効率的な自動化が極めて重要です。製造テストでは、1日に数千単位の製品をテストするため、テストにかかる時間が短縮されればテスト単価を低減することができます。
アナログビデオ製品の評価は、信号集録とビデオ品質計測の2つの部分に分けることができます。このドキュメントでは、各部分について説明するとともに、アナログビデオ製品の検証および製造テストに適したナショナルインスツルメンツのPXIプラットフォームとモジュール式計測製品について紹介します。NIでは、ビデオ信号集録用ハードウェアや、ビデオ信号解析やテストシーケンスの管理が行えるソフトウェアを提供しています。
ビデオ評価 - 信号集録
アナログビデオテストの第一段階では、コンポジット、S-Video、またはComponentビデオ信号を集録し、目的の情報を抽出します。ビデオ信号の集録とテストの際に、集録ハードウェアについて検討する必要のある重要事項がいくつかあります。NI 5122 100 MS/秒、14ビットデジタイザには、ビデオトリガ、入力終端、直流分再生(クランピング)など、ビデオ信号のテストに役立つ各種機能が搭載されています。
ビデオトリガ
計測用に特定のライン番号を検出する目的でビデオ信号を集録するには、指定のフィールド(偶数または奇数)またはフレームと、指定のライン番号に同期可能なハードウェア上でシンク信号検出とトリガ機能が必要です。すると指定のライン上の水平シンク(HSYNC)パルスの前に、集録が開始します。ビデオのテストに使用するシステムはシンクパルスを含むインターレース/プログレッシブビデオ信号との同期が可能である必要があります。シンク情報は別々のチャンネルで提供されることがあるため(例:RGBHV信号)、全てのアナログフォーマットを解析するためには、テスト機器はコンポジットと別々のシンク信号に対応できる柔軟性を備えていることが必要です。
入力終端
全てのアナログビデオ信号の特性インピーダンスが75オームであるため、ビデオテスト機器の入力インピーダンスも同じインピーダンスである必要があります。75オームの入力インピーダンスがない場合(ほとんどのデジタルオシロスコープ75オームではありません)は、高インピーダンス入力を75オームターミネータ(終端器)とともに使用することができます。終端器は多くの場合BNC T型分岐に取り付けられた75オームのBNC型ですが、より優れているのが長さの短いBNCフィードスルー終端器です。
直流分再生(クランピング)
アナログビデオ信号はルミナンス電圧範囲が1 Vpk-pkとなっていますが、信号のDCオフセットは、信号を発生している機器のグラウンドによっては数ボルト範囲に及ぶこともあります。浮動の程度は、業務用製品に比べ家庭電化製品の方が大きい傾向があります。ビデオ生成機器のシンク信号は最小が0ボルトというのが一般的であるため、D/Aコンバータ回路には正の電圧レールしか必要ありません。HDTV信号では、DCオフセットは±1 V以内です。
ルミナンス信号の振幅は、通常ブランキングレベルと比較して計測されます。また表示上、浮動ビデオ信号のブランキングレベルを0 Vに復元すると便利です。この処理は直流分再生と呼ばれます。クランピングと呼ばれることもあります。通常はハードウェアで行われますが、デジタイザの入力範囲を超えていなければソフトウェアでも実行できます。入力信号がデジタイザの範囲から外れている場合、クリッピングによって信号に歪みが起こる可能性があります。そのためにブランキングレベルの変動を正しく計測できない場合があります。
A/D変換
アナログビデオ信号は、解析のためデータをソフトウェアに送る前にデジタル化する必要があります。サンプリングの前には、ビデオ信号をローパスフィルタにかけて、エイリアスを防ぐとともに不要な帯域外の信号を取り除くことも必要です。ビデオ信号を集録する際は、一般にアナログ帯域幅の2倍以上のレートで、少なくとも10ビットの分解能でサンプリングすることが推奨されます(1 Vpk-pk範囲で)。ただし、DCオフセットや信号範囲の関係で、デジタイザのダイナミックレンジをフルに使用することは通常できません。これを補正するため、より高い分解能(12または14ビット)を使用することをお勧めします。例えば、入力範囲を2 Vpk-pkに設定した14ビットデジタイザは、最下位ビット(LSB)分解能が少なくとも0.12 mVになり、74 mV以内、つまり1 IRE(Institute of Radio Engineers)単位のビデオ信号分解能の条件を優に上回ります。
信号のオーバーサンプリングにより、信号遷移と高周波成分の計測の精度が大幅に向上します。オーバーサンプリングは、コンポジット信号とSDTV信号を50 MS/秒のレートでサンプリングした場合に最もメリットがあります(HDTVの場合は100 MS/秒)。ただし、デジタイザがビデオ信号の十分なサンプルを捉えるには、大容量メモリが必要です。例えば、フレーム間隔が41.7 msの1920x1080p、23.98 HzのHDTV信号では、1フレームを100 MS/秒で集録する場合、チャンネルあたり約8 MBのメモリが必要となります。複数のチャンネルから信号を集録する場合は、その数に従って必要なメモリも増えます。

図1 - PXIe-5122 100 MS/秒、14ビットデジタイザ(BNC入力を持つスロット3のモジュール)を使用して、フレーム解析用にコンポジット、S-Video、またはコンポーネントビデオデータを集録可能。さらに、高速のPCI Expressバスを利用しているため、ビデオデータはNI RAIDハードディスクに数分から数時間にわたって連続保存し、信号の再生や解析を行うことができます。
ビデオ評価 - ビデオ信号品質測定
アナログビデオデータを集録したら、ビデオ信号品質を解析するためのソフトウェアアルゴリズムを開発する必要があります。それにより、製品がTVなどのデバイスに表示する明度やカラーの情報を正しく送っているかを確認することができます。一般的な計測としては、カラーバー、水平タイミング、信号周波数などの振幅/タイミングパラメータ、Kファクタ、マルチバースト、非線形性などの歪み計測、ノイズスペクトル解析などがありますが、必要となるソフトウェア解析や複雑さの程度はアプリケーションにより異なります。例えば、製造段階におけるテストでは、出力の機能を検証するための計測を数種類行うだけでよいかもしれませんが、その同じ計測を1日に数千回も行うため、効率的なアルゴリズムを開発することに特に気を付ける必要があります。一方、製品の検証段階でのビデオ解析は、製品の全ての機能を完全にテストできるよう網羅的でなければなりません。そのため自動化の効率が重要であり、多くの複雑なアルゴリズムを開発することが必要となる場合があります。
さらにマルチコアCPUが普及する中、どちらのタイプのテストも複数の計測を並列で行うことでメリットを得ることができます。NI LabVIEWグラフィカルプログラミング言語を使用すると、計測ハードウェアを利用するのが容易になるほか、カラーバーテストのシンプルなレベル計測から画像処理などの複雑な処理まで、あらゆるアルゴリズムを開発することができます。また、計測を並列で実行でき、LabVIEWはプログラムに変更を加えなくても複数のコアを最大限に活用できるよう、スレッドを自動管理します。らに、NI TestStandソフトウェアを使用すれば、LabVIEWや他の言語を使ったテストの実行管理と反復可能な計測シーケンスの作成、合否基準となるリミット値の設定、ファイルやデータベースへのテストデータの保存、レポートの作成などが可能です。
ビデオ測定における難題
コンポジット、S-Video、コンポーネントなどのビデオ信号測定のソフトウェア/ハードウェア各要件について見てきましたが、これらの測定では短い技術資料では説明しきれない多くの点について考慮する必要があります。例えば、家庭電化製品には様々な操作モードがあります。解像度480iまたは480pのSDTVから720p、1080i、または1080pのHDTVまで、あらゆる信号を出力します。これらの解像度は、24、30、60フレーム/秒(fps)というように、フレームレートがそれぞれ異なります。クローズドキャプションなどのデータは、アクティブピクチャエリア外で伝送することができます。効率的なビデオ解析用ソフトウェアアルゴリズムを開発するのは難度が高く、多彩な計測プログラムを全て開発するのは時間のかかる作業です。テストシステムの開発時間に大きな影響をもたらすもう1つの側面として見落とされがちなのが、質の高いアルゴリズムを作成すれば、検証テストと製造テストの両方に利用できるという点です。テストシステム開発におけるこのような難題には対処法がありますが、信頼性の高い集録ハードウェアと高機能なビデオ解析ソフトウェアを統合したソリューションが求められる場合もあります。
VideoMASTER - ビデオテストソリューション
VideoMASTERアナログビデオ解析パッケージは、PXIプラットフォームをベースに構築されています。コンポジット、S-Video、またはコンポーネントビデオ信号を集録するハードウェアには、PXIe-5122 100 MS/秒、14ビットデジタイザを採用しています。データを集録したら、簡単なメニュー選択で計測ライブラリからテスト項目を選択するか、独自の計測項目を作成することができます。計測項目の構成はLabVIEWで行いますが、テストシーケンスはNI TestStandテスト管理ソフトウェアを使用して作成すると、評価対象に対して行う全ての計測の順序などを管理することができます。また、各ステップで上限/下限値などを設定し、合否基準として使用することができます。NI TestStandでは、テストデータへのアクセスとレポート生成が容易に行えるようになっています。
図2.PXIプラットフォームを使用するとビデオテストのコストを削減できます。モジュール式となっているため、アナログ/デジタルビデオだけでなく、オーディオも同じプラットフォームでテストできます。さらにビデオパターン生成機能もシステムに追加することができます。
microLEX Systems社は、アナログ/デジタルのビデオテストにかかるコストを削減できるVideoMASTERを開発しました。多くのビデオテストソリューションに比べコストが低いだけでなく、PXIバスの特徴である高スループットと低遅延時間を利用してテスト時間の短縮にも役立てることができます。例えば、コンポジットビデオ、コンポーネントビデオ、およびセットトップボックス、DVDプレイヤーなどの製品のHDMI出力から信号を集録し一般的な計測を全て行うのに、わずか6~8秒ほどしかかからないこともあります。多くの家庭電化製品には、ビデオとオーディオ両方の出力が搭載されています。VideoMASTERはPXIプラットフォームに基づいているため、テスト機能を拡張してアナログ/デジタルビデオ解析に加えてオーディオ解析も含めることができます。さらに必要に応じてビデオ生成機能も追加することができます。Webイベント:アナログ/デジタルビデオ計測では、VideoMASTERアナログ/デジタルビデオ解析プラットフォームのデモをご覧いただけます。
追加資料
デモ:VideoMASTERアナログ/デジタルビデオテストプラットフォーム
法律関連事項
本チュートリアル(以下「チュートリアル」という)は、National Instruments(以下「NI」という)によって作成されたものです。本チュートリアルは、NIにてサポートされていますが、本チュートリアルの内容に関するテストや検査が完全に行われていない可能性があり、チュートリアルの品質について、もしくは、関連製品およびドライバの各改訂版に対するサポート継続については、何らの保証も適用されません。本チュートリアルは、いかなる保証もなく「作成された状態のまま」で提供されており、ni.com/jpの使用条件に特別に規定されている特定の制約事項に従うものとします。 (http://ni.com/legal/termsofuse/japan/ja/)

