ビデオ信号計測・生成の基本
概要
このチュートリアルは、ナショナルインスツルメンツの 信号発生器チュートリアル(英語) と 高速デジタイザチュートリアル シリーズの一環です。このシリーズのチュートリアルは、理論の説明や実用的なサンプルによって、一般的な計測アプリケーションに関する特定のトピックについて紹介するものです。このチュートリアルでは、ビデオ信号の計測と生成に関する基本について説明します。 信号発生器の概念に関する詳細は、 信号発生器の基本トップページ でご覧いただけます。 高速デジタイザの概念に関する詳細は、 高速デジタイザの基本トップページ でご覧いただけます。
目次
コンポジットビデオ信号とは
コンポジットビデオ信号とは、ビデオ信号を生成するために必要な成分が全て1つの信号に組込まれている信号のことをいいます。コンポジット信号は、以下の3つの主要成分から構成されています。
- 輝度信号(ルミナンス)―ビデオ画像の強度(明るさ/暗さ)情報が含まれています。
- 色度信号(クロマ)―ビデオ画像の色情報が含まれています。
- 同期信号(シンク)―テレビ画面などのディスプレイ上における信号のスキャンを制御します。
モノクロコンポジット信号は、輝度(ルミナンス)と同期(シンク)の2つの成分でできています。この信号は、通常Y信号と呼ばれます(図1参照)。

図1.モノクロコンポジットビデオ信号(白から黒の輝度ステップ)
色度信号(クロマ)は、通常C信号と呼ばれます(図2参照)。

図2.カラーバーラインの色情報信号(カラーバーストを含む)
CVBS(Color Video, Blank, and Sync)信号と呼ばれることも多いコンポジットカラービデオ信号は、YとCの和です(図3参照)。
CVBS = Y + C

図3.カラーバーラインのカラーコンポジットビデオ信号
YとCの2つの成分は、2つの別個の信号として別々に分散することも可能です。その2つの信号を併せたものを、Y/CまたはS-Videoと呼びます。
ビデオ信号の成分
1つの水平ビデオライン(走査線)の信号は、水平シンク信号、バックポーチ、アクティブピクセル領域、フロントポーチからなっています(図4参照)。

図4.ビデオ信号の成分
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水平シンク(HSYNC)信号が各新規ビデオラインの始まりを示します。その後に続くバックポーチは、浮動(ACカプリング)ビデオ信号からDC成分を取り除くための基準レベルとして使用されます。これはモノクロ信号のクランプインターバルで、バックポーチにおいて行われます。コンポジットカラー信号の場合、クランプは水平シンクパルスにて発生します。これはほとんどのバックポーチが、信号の色成分を復号化するための情報を提供するカラーバーストに使用されるためです。ビデオ信号のセットアップパラメータについては、Measurement & Automation Explorerのヘルプでわかりやすく説明されています。
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ビデオ信号のもう1つの側面が垂直シンク(VSYNC)パルスです。これは実際にはフィールド間で発生する一連のパルスのことで、垂直帰線を実行し次のフィールドのスキャンを準備するようモニタに知らせます。各フィールドにはアクティブなビデオ情報が含まれないラインが複数あります。一部はHSYNCパルスしか含んでいませんが、一連の等化パルスとVSYNCパルスを含むものもあります。それらのパルスはテレビ放送が始まった初期の頃に定義され、以来標準化されていますが、新しいハードウェア技術が開発されたことで、そのようなパルスの一部は必要性がなくなっています。RS-170コンポジットインターレース信号を図5に示します。これには垂直シンクパルスが含まれています。わかりやすくするため、6ラインあるフレームを示しています。

図5.VSYNCパルス
ここで重要なのは、アナログカメラから入力した画像の水平サイズ(ピクセル数)は、フレームグラバが各水平ビデオラインをサンプリングするレートによって決まるということです。そしてそのレートは、垂直ラインレートとカメラのアーキテクチャによって決まっています。カメラのCCDアレイの構造は、各ピクセルのサイズを決定します。画像の歪みを防ぐため、水平アクティブピクチャエリアを適切なピクセル数に分割するレートで、水平方向にサンプリングする必要があります。RS-170規格で定義された数値例を以下に示します。
主なパラメータ:
- ライン数/フレーム:525(ディスプレイの485ラインを含みます。残りは2つのフィールドそれぞれのVSYNCラインです。)
- ライン周波数:15.734 kHz
- ライン持続時間:63.556マイクロ秒
- アクティブ水平ライン持続時間:52.66マイクロ秒
- アクティブピクセル数/ライン: 640
ここで、いくつかの計算が行えます。
- ピクセルクロック(PCLK)周波数(各ピクセルがフレームグラバに到達する周波数):
640ピクセル/ライン/52.66 e-6秒/ライン= 12.15 e6ピクセル/秒(12.15 MHz) - アクティブビデオの総ライン長(ピクセル)+タイミング情報(HCOUNTで表記):
63.556 e-6秒 * 12.15 e6ピクセル/秒= 772ピクセル/ライン - フレームレート:
15.734 e3ライン/秒/ 525ライン/フレーム= 30フレーム/秒
様々なビデオフォーマット
以下の表は、一般的に使用されている標準アナログビデオフォーマットの特性を示しています。
NTSC: National Television Standards Committee
PAL: Phase Alteration Line
SECAM: Systeme Electronic Pour Coleur Avec Memoire
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カラーコーディング
全てのPAL/NTSCフォーマットで、コーディングはQAM(直交振幅変調)の概念に基づいていますので、2色成分は直交で振幅変調されてから結合されます。変調は復号化する必要があるので、カラー情報を復号化するのに必要な絶対位相を追跡するため、カラーバーストと呼ばれる基準信号が水平シンクパルスの直後の各ラインの最初に挿入されます(図3および4参照)。
SECAMフォーマットでは、2色成分は2つの異なるサブキャリア周波数を用いて周波数変調され、以降1つおきのビデオラインに分配されます。SECAMフォーマットにはカラーバースト信号は必要ありません。
ビデオレベル
ビデオレベルは、ビデオ信号の様々な部分のレベルと範囲を定義します。ビデオレベルの定義には、IRE(Institute of Radio Engineers)という単位が用いられます。ブランキングレベルは0 IREを、白レベルは+100 IREを示します。ブランキングレベルは、ビデオ信号の基準レベルであり(通常0 V)、図6に示すようにセットアップが信号に適用された場合の黒レベルとは異なります。

図6.ビデオレベル
NTSCの場合、通常7.5 IREのセットアップが適用されますので、黒レベルが+7.5 IREに移動します。PALとSECAMの場合は、黒レベルは0 IREでブランキングレベルに同調されます。
以下の表は各ビデオフォーマットの様々なビデオレベルを示しています。
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ビデオ
フォーマット |
シンク
レベル |
ブランキング
レベル |
黒レベル
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白レベル
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ピーク
レベル |
バースト
振幅 |
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NTSC
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–40 IRE
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0 IRE
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+7.5 IRE
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+100 IRE
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+120 IRE
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20.0 IRE
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PAL
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–43 IRE
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0 IRE
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0 IRE
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+100 IRE
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+133 IRE
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21.5 IRE
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SECAM
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–43 IRE
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0 IRE
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0 IRE
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+100 IRE
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+130 IRE
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N/A
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アナログコンポジットビデオ信号は、75オームの出力インピーダンスを持つ電圧ソースとして定義されます。シンク/白レベル間は、75オームの抵抗の場合通常1 Vpk-pkです。そのため、負荷のない信号では通常2 Vpk-pkです。
インターレーススキャンの概念
全てのコンポジットビデオシステムでは、インターレーススキャンを使ってテレビ画面にビデオ画像を表示します。図7は、インターレーススキャンの概念を示しています。

図7.テレビ画面でのインターレーススキャン
アナログビデオ信号には、左から右のラインごとと上から下のフィールドごとのスキャンを制御する同期パルスが含まれます。ラインごとのスキャンを制御するパルスは水平シンクパルス(H-Sync)と呼ばれます。垂直スキャンを制御するパルスは垂直シンクパルス(V-Sync)と呼ばれます。
2つのインターレースフィールドで1つのフレームになります。最初のフィールド、奇数フィールドは、ビデオ画像の奇数ラインをスキャンします。2つめのフィールド、偶数フィールドは、ビデオ画像の偶数ラインをスキャンします。このプロセスを各フレームについて繰り返します。
参考資料
アクティブピクチャ
スキャンによって得られたアクティブビデオ画像は、ビデオフォーマットに関係なく常に縦横比が4/3になっています。カラーコンポジットビデオ信号のスキャンプロセスでは、各ラインの右側と左側、およびアクティブピクチャエリアの上と下に余分なスペースが必要です。この余分なスペースには、シンク(同期)信号、カラーバースト、そのほかアクティブピクチャエリアに含まれないITSなどのフォーマット特定情報が含まれています。全てのラインの約90%と各ラインの約80%で、アクティブピクチャ情報を伝送することができます。正確な値は、以下の表のようにビデオフォーマットによって異なります。
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ビデオ
フォーマット |
ライン/
フレーム |
アクティブ
ライン |
フレームレート
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ライン
持続時間 |
アクティブライン
持続時間 |
| NTSC | 525 | 480/486 | 29.97 frames/sec | 63.55 µs | 52.2 µs |
| PAL/SECAM | 625 | 576 | 25.00 frames/sec | 64.00 µs | 52.0 µs |
アクティブラインは、実際に画像情報の伝送に使用されるライン数を表します。例えば、NTSCでは各フレームの525ライン中480ラインのみが画像情報を伝送しています。同様に、各ライン上で、画像情報は全ライン時間より短いアクティブラインシーケンスの間のみ伝送されます。例えば、NTSCでは63.55μ秒のうちアクティブライン時間は52.2μ秒のみです。フレームレートとは、スキャン速度のことです。
グレースケール画像と抽出したラインプロファイル
次のセクションのNTSCフレームスキャン画像は、以下の条件が満たされると、テレビ画面に表示されるビデオ表示をシミュレーションします。
- テレビがアクティブな画像部分だけでなく全ラインを表示可能
- テレビが2つのフィールドをインターレースして完全な画像フレームを形成するのではなく、プログレッシブスキャンをし、フレーム全体をラインごとに表示している
奇数フィールドの垂直シンクパターンを表す複数のラインで、上から下へラインごとのスキャンが開始します。奇数フィールドの垂直シンクパターンの直後、オプションの挿入テスト信号(ITS)が挿入されます。最後に、実際の奇数フィールドのアクティブ画像が表示されます。
このプロセスを偶数フィールドについても実行し、フレームが完成します。
| 注: ほとんどのラインはまず水平シンクパルスで始まり、次にカラーバーストパターンがきます。次に、アクティブピクチャ(またはITS)が強度の変化としてが表示され、このとき信号レベルの高い方が明るくなっています。 |
抽出されたラインプロファイル例(図8および9の下)は、偶数フィールドから抽出した実際のビデオ信号ラインです。ビデオレベルに関する詳細については、上述の「ビデオ信号の成分」を参照してください。
水平シンクパルスは基本的にシンプルな負パルスなので、ルミナンス信号のレベルを下回ります。ただし、垂直シンク信号はパルス列が複数のラインに分散されており、パルス列は奇数フィールドと偶数フィールドで異なります。図8および9は、3種類の主要ビデオフォーマットの両フィールドにおける垂直シンクパターンを示しています。

図8.NTSCの垂直ブランキング/シンク信号

図9.PALおよびSECAMの垂直ブランキング/シンク信号
NTSCフレームの全スキャン
図10は、NTSCフレームの全525本のラインを全てスキャンした結果を表しています。
図10.完全なNTSCフレームスキャン
図10は、未処理のNTSCビデオ波形の強度をグラフで表しているため、グレースケール画像となっています。色情報はこの波形に埋め込まれており、まだ復号化されていません。
左側に信号のカラーバーストがあるのがわかります。この画像はモノクロテレビで映ったものを表しているので、カラーバーストは白黒のパターンとして表現されています。カラーバーストは(カラーテレビ画面で表示された場合)単一の色として表示されます。
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