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Document Type: Tutorial
NI Supported: Yes
Publish Date: Jun 28, 2011


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自動テストに使用されるモジュール式計測システム

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Overview

次世代テストシステムの開発者ガイドへようこそ。このガイドはコストの削減やテストスループットの向上を実現し、将来の仕様の変化にも対応できるテストシステムの開発を支援する技術資料集です。モジュール式計測器プラットフォームと従来の計測器プラットフォームの違いについて説明しています。開発者ガイドの完全版(120ページ)は、 ni.com/automatedtest をご覧ください。

モジュール式計測器 - 柔軟性に優れたユーザ定義ソフトウェアおよび拡張可能なハードウェアコンポーネント

デバイスの複雑性、およびテクノロジの収束は高まる傾向にあり、これに伴ってテストシステムにもさらに柔軟性が求められます。コストの制限により、システムの寿命をできる限り長く保つことが求められつつも、テストシステムは時間の流れとともに変化するデバイスに対応していく必要があります。こうした問題を解消する唯一の手段は、ソフトウェア定義のモジュール式アーキテクチャを使用することです。この技術資料では、仮想計測器(バーチャルインスツルメンテーション)を用いたソフトウェア定義のコンセプトを紹介し、ハードウェアプラットフォームおよびソフトウェア実装のオプションを見ていきながら、モジュール式システムがいかに自動テスト装置(ATE)の問題を解消するのにふさわしいかについて検証します。

現在、基本的に計測器は仮想と従来のもの、2タイプがあります。図1はこれら2タイプのアーキテクチャです。

図1. 従来の計測器と仮想計測器を比較してみると、似たようなハードウェアコンポーネントを共有している。アーキテクチャの主な違いは、ソフトウェアのある場所とそれにユーザがアクセスできるかどうかという点である。

図は、これらの2つのアプローチの類似点を示しています。両者とも計測ハードウェア、シャーシ、電源、バス、プロセッサ、OS、およびユーザインタフェースを備えています。2つの手法に使用されている基本コンポーネントは同じであるため、ハードウェア側から見た最もわかりやすい違いはコンポーネントのパッケージ化のされ方です。従来の、あるいはスタンドアロンの計測器の場合、全てのコンポーネントを同じ「箱」の中に収容しています。スタンドアロン計測器の例としては、GPIB、USB、またはLAN/Ethernetで制御する計測器が挙げられます。これらの計測器は、一つ一つが別個に成り立っており、組み合わせて使用することを第一に考えて設計されてはいません。従来の計測器が多数存在するなか、ソフトウェア処理とユーザインタフェースは計測器自体の中に固定されており、アップデートの時期とその方法はベンダに選択権があります(ファームウェアを使用するなど)。つまり、ユーザが従来の計測器の機能リストに含まれていない計測を行うことは不可能であり、新しい基準で計測を行ったり、変更が必要なシステムに変更を施したりすることは難題なのです。

一方、ソフトウェア定義の仮想計測器では、測定データを使用して、独自の計測やユーザインタフェースを定義することができます。このソフトウェア定義の手法では、独自の計測を行ったり、新しい基準を用いた計測を実行したり、システムに変更を施したり(計測機器、チャンネル、計測器を追加するなど)することが可能です。ユーザ定義のソフトウェアは、アプリケーションに特化したスタンドアロンのハードウェアに適用できる一方、モジュール式の汎用ハードウェアとともに使用するのに大変適しており、計測ソフトウェアの柔軟性と性能を最大限に引き出すことが可能です。柔軟性に優れたユーザ定義のソフトウェアと拡張可能なハードウェアコンポーネントのこうした組み合わせは、モジュール式計測器の中心となります。

モジュール式ハードウェアによるシステムの拡張

モジュール式計測はいくつかの形で実現できます。優れた設計を施されたモジュール式計測システムでは、シャーシや電源など、同じコンポーネントを計測機能一つ一つに対して複製する代わりに、1つのコンポーネントを計測モジュールの間で共有します。これらの計測モジュールには、オシロスコープ、関数発生器、デジタル、RFなど、異なったタイプのハードウェアも含まれます。図2に示したように、計測ハードウェアが、ホストコンピュータの周辺ポートまたは周辺スロットの一つに取り付けられた単なる周辺機器の場合もあります。この場合、ホストPCは、ソフトウェアによる計測を行うためのプロセッサ、および電源とI/Oのためのシャーシを提供する役割を担います。



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図2. モジュール式計測システムの計測ハードウェアに、USB周辺モジュール(左)やPCI Expressプラグインモジュール(右)などを選択する。

その他の場合には、70社を超える加盟企業がサポートするテスト/計測/制御のための堅牢なプラットフォーム、PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)など、計測ハードウェアは工業用シャーシに収容されます(図3参照)。

 


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図3. このモジュール式計測システムの例では、PXIハードウェア、およびNI LabVIEWグラフィカル開発ソフトウェアを使用している。

PXIシステムでは、ホストコンピュータは、シャーシに組み込むこともできれば(図3参照)、ノートPC、デスクトップ、またはサーバがその役割を担い、有線インタフェースを使用して計測ハードウェアを制御することもできます。PXIシステムでは、PCと同じバス(PCIおよびPCI Express)と市販PCコンポーネントを使用してシステムを制御できるため、「モジュール式計測」をPXIシステムでも市販PCを使用して同様に適用できます(ただし、PXIは、モジュール式計測器に対して、チャンネル数の増加、携帯性、堅牢性など、ここで説明していないその他のメリットをもたらします。PXIの詳細についてはni.com/pxiをご参照ください)。システムにPXI、プラグインモジュールを内部に取り付けたデスクトップPC、周辺I/Oモジュールを接続したデスクトップPCのいずれを使用しようと、こうしたシャーシおよびコントローラの共有によって、コストは大幅に削減され、ユーザが計測/解析ソフトウェアを自由に構成できるようになります。モジュール式計測器の構成にはさまざまな選択肢がありますが、このアプローチと従来の計測器を分ける差別化要因は、ソフトウェアがオープンである点です。ソフトウェアがオープンであることによって、テストに変更が必要になった場合や従来の計測器では不可能な計測が出てきた場合に、ユーザが独自の計測を定義できることがポイントです。

重要なのは、複数の機能を1つのボックスに組み込んだ従来の計測器と比較しても、このモジュール式のアプローチで計測器やチャンネルの同期が損なわれることはない、という点です。それどころか、モジュール式計測器は組み合わせての使用を考慮して設計されています。全てのモジュール式計測器には、共有クロックおよびトリガを使用したタイミング/同期機能が搭載されています。例えば、最も優れた同期確度の場合、ベースバンド、IF、およびRF計測器は、計測器間で100 p秒未満のスキューで、お互いと同期を取ることができます。これは、同じ計測器上の複数のチャンネル間でのスキューよりも優れています。

モジュール構造はコストとサイズをダウンし、スループットと寿命をアップする

「モジュール式」という言葉は、ハードウェアのパッケージ化のみに基づいた間違った使い方をされる場合もありますが、モジュール式計測器はパッケージ化以上の意味を持っています。モジュール式計測システムに期待できるメリットは3つです。シャーシの共有、バックプレーン、およびプロセッサを使用したコスト削減とサイズの縮小、ホストプロセッサとの高速接続による高スループット、ユーザ定義のソフトウェアによる優れた柔軟性と長い寿命です。

上記で詳細を説明したとおり、モジュール式計測システムの全ての計測器は、同じ電源、シャーシ、およびコントローラを共有します。スタンドアロン計測器は、電源、シャーシ、および/またはコントローラを全ての計測器ごとで持つため、コストおよびサイズは膨れ上がり、信頼性は低下します。実際、自動テストシステムは、使用されるバスに関係なくPCを必要とするため、全ての計測器でこのコントローラを共有するモジュール構造は、システム全体に対するコストを償却します。モジュール式計測システムでは、PCのGHzレベルのプロセッサがデータを解析し、ソフトウェアを使用して計測を行います。結果として、ベンダ定義の組み込みファームウェアとアプリケーションに特化したプロセッサを使用した従来の計測器のみで構築されたテストシステムの10~100倍のスループットで計測できます。例えば、通常のベクトル信号アナライザ(VSA)は、1秒につき0.13回の帯域内電力の測定を行えますが、それに対し、NIモジュール式VSAは、1秒につき4.18回の帯域内電力の測定を行え、約33倍のスピードになります。

モジュール式計測器は、広い帯域幅を持つ低遅延のバスを使用して計測モジュールを共有プロセッサに接続し、ユーザ定義の計測を行う必要があります。USBは、使いやすさの点においては大変優れていますが、PCIおよびPCI Express(拡大解釈するとこうしたバスに基づいたPXIプラットフォームを含める)は、モジュール式計測器で最も優れた性能を発揮します。現在、PCI Expressを使用するとスロットは最大4 GB/秒の帯域を実現し、PXIを使用すると各スロットで最大2 GB/秒の帯域幅が実現します。これは、Hi-Speed USBの33倍以上、100 Mb/秒のEthernetの160倍、また、新しいGb/秒Ethernetの16倍の速さに匹敵します(図4)。LANおよびUSBなどの周辺バスは、PCI Expressなどの内部バスを使用して常にPCプロセッサに接続するため、当然、常に性能が低くなります。高速バスがテスト/制御にどのように影響を与え得るかという例として、モジュール式RF集録システムを見てみましょう。デスクトップPCまたはPXIシステムのPCI Express x4(2 GB/秒)スロットでは、2チャンネル、100 MS/秒、16ビット、IF(中間周波数)で、直接データをプロセッサに転送して演算させることができます。LANもUSBもこの要件を満たすことができないため、このレベルの性能を必要とする計測器は常にベンダ定義の組込プロセッサを使用して計測を実行しますが、この場合、計測器はモジュール式ではなくなります。

 


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図4. 帯域幅が最も広く遅延時間が最少のPCI/PCI Expressは、ユーザ定義のソフトウェアを使用することでテスト時間を短縮するとともに柔軟性の向上と寿命の延長を可能にする。

モジュール式計測器では、ホストへの高速接続が優れた柔軟性と長い寿命をもたらしますが、それは、ソフトウェアが計測器ではなく、ホストに存在するようになるからです。ソフトウェアがホストで実行されることにより、ベンダではなくユーザが計測器の動作を定義します。このアーキテクチャにより、次のようなことが可能になります。1)典型的なベンダ定義の非モジュール式アプローチでは一般的にできない計測が実行できる。2)未確定な基準を満たすかどうか確認する計測器を作成できる。3)特定の計測を行うためのアルゴリズムを定義できる。ユーザ定義ができるというソフトウェアの性質は、検査対象の変更に従って、計測やひいては計測器の追加や変更ができることも意味します。また、ソフトウェアによる直接アクセスを利用して、ネットワーク上のこうしたモジュール式計測器の監視や制御を行うこともできます。

こうしたハードウェアの実装が計測器の性能を犠牲にすることがないとうことは注目に値すべき点です。現在、モジュール式計測アプローチによって設計された計測器には、業界の最も高い解像度を持つデジタイザ、最も広い帯域幅を持つ任意波形発生器、および最も確度の高い7½桁デジタルマルチメータなどがあります。

ソフトウェアを使用した柔軟性に優れたカスタム計測器

モジュール式計測器におけるソフトウェアの役割は大きいものです。ソフトウェアは、ハードウェアから受け取った生のデータを計測に使えるように変換します。優れた設計を施されたモジュール式計測システムでは、I/Oドライバ、アプリケーション開発、およびテスト管理を含む複数層のソフトウェアが考慮されています(図5参照)。

 


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図5. ソフトウェアの層はモジュール式計測システムでよく使用される。

一番下は計測/制御サービスの層で、よく見落とされがちですが、モジュール計測システムで最も重要な要素の一つです。この層は、ドライバI/Oソフトウェアおよびハードウェアの構成ツールを表しています。このドライバソフトウェアは、テストプログラム開発ソフトウェアと計測/制御のためのハードウェアを接続するうえで重要です。

計測器ドライバは、計測器に対するインタフェースとなる、抽象度が高い、解読しやすい関数をセットにして提供します。各計測器ドライバは、特定のモデルの計測器に合わせて作成されており、計測器特有の機能をプログラム上で利用できるよう設計されています。計測器ドライバの特に重要な点は、各開発環境で利用できることです。計測器特有の細かいコマンドを調べる必要なくプログラム開発できることが必要です。システム開発者は、例えば、NI LabVIEW、C、C++、Microsoft .NETなど、自分が選択した開発環境に最適化された計測器ドライバインタフェースを必要とします。

計測/制御サービスの層には、構成ツールも表されています。これらの構成ツールには、I/Oの構成およびテスト、また、スケーリング、校正、およびチャンネルのアンチエイリアスに関する情報を保存するためのリソースが含まれています。これらのツールは、計測システムの迅速な構築、トラブルシューティング、および保守にとって重要です。

アプリケーション開発環境層のソフトウェアは、プログラム開発するためのツールを提供します。グラフィカルプログラミングは、モジュール式計測システムの要件ではないものの、こうしたシステムで、その使いやすさと開発の迅速さからよく使用されます。グラフィカルプログラミングでは、実行するアクションが絵で表示された「アイコン」や記号的な関数が使用されます(図6参照)。これらの記号は「ワイヤ」によって接続され、データを渡したり、実行の順序を決めたりします。LabVIEWは、業界で最もよく使用されるグラフィカル開発環境です。

 

図6. モジュール式計測器を使用し、LabVIEWで記述された典型的な信号生成/信号測定のコード。
1)任意波形発生器から信号を生成する。
2)デジタイザ/オシロスコープで信号を集録する。
3)高速フーリエ変換(FFT)を実行する。
4)FFTの結果をユーザインタフェースでグラフ化する(フロントパネル)。

一部のアプリケーションでは、テストの実行、あるいはテストデータの可視化のために、ソフトウェア管理の追加層が必要になることもあります。これらは、システム管理ソフトウェア層に表示されます。比較的規模が大きい自動テストシステムに、テスト管理ソフトウェアは、シーケンシング、ブランチング/ルーピング、レポート生成、およびデータベース統合化のためのフレームワークを提供します。テスト管理ツールは、各開発環境で作成されたテストプログラムと連携する必要があります。例えば、NI TestStandでは、シーケンシング、ブランチング、レポート生成、およびデータベース統合を行うためのこうしたフレームワークを提供し、各開発環境で作成したプログラムを呼び出すことができます。大量のテストデータを可視化する必要のある他のアプリケーションでは、また別のツールが役に立ちます。こうしたニーズには、大量な分散データへの迅速なアクセス、一貫したレポート生成、データの可視化などがあります。こうしたソフトウェアツールでは、データ集録で集められたデータやシミュレーションの際に生成されたデータの管理、解析、およびレポート作成を行います。

このソフトウェアアーキテクチャの各層は、モジュール式計測システムを考慮して構成する必要があります。

モジュール式計測器 - 自動テストのニーズを満たす

デバイスの複雑性が増し、採用されるテクノロジの種類が増えるにつれ、テストシステムの柔軟性を向上する必要も出てきます。テストシステムが時の流れとともに変化するデバイスに対応していく必要がある一方で、コストの制限により、システムの寿命をできる限り長く保つことも求められています。こうした問題を解消する唯一の手段は、ソフトウェア定義のモジュール式アーキテクチャを使用することです。共有コンポーネント、高速バス、およびユーザ定義のオープンなソフトウェアを使用したモジュール式計測器は、現在、そして未来の自動テストのニーズを満たす最適なアプローチです。

関連したNI製品および技術資料

自動テストの業界トップであるナショナルインスツルメンツは、こうした次世代テストシステムの構築に必要なハードウェアおよびソフトウェア製品を提供し続けています。

ソフトウェア

ハードウェア

技術資料
NIでは次世代テストシステムの開発者ガイドを提供しています。このガイドはコストの削減やテストスループットの向上を実現し、将来の仕様の変化にも対応できるテストシステムの開発を支援する技術資料集です。開発者ガイドの完全版(120ページ)は、 ni.com/automatedtest をご覧ください。

 

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